5月17日公開予定の映画『ハピネス』で初主演を務める窪塚愛流(20)。父は俳優、母はダンサーというクリエイティブな一家に生まれ育った彼が俳優を志すのは、自然の成り行きだったのかもしれない。進境著しい若手注目俳優が振り返るデビューまで、そして家族を描いた最新作に込めた思いとは――。(全2回の前編/続きを読む)

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撮影現場によく連れて行ってもらっていた幼少期

――小さいころから表現する仕事に憧れを持っていたそうですね。

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窪塚 はい、それこそ物心が付くころから。父は俳優、母はもともとダンサーで、ふたりの叔父も俳優とレゲエ・ミュージシャンなので、その仕事をよく見ていました。舞台の稽古に連れていってもらったり、バックステージからライブを見せてもらったりするうちに、自分も表現する仕事に就きたいと思っていました。

©杉山拓也/文藝春秋

――ドラマや映画を観るのは好きでしたか?

窪塚 幼いころはそれほど好きではなかったです。作品を観るより、その場を体感するほうが好きでした。だからドラマや映画の撮影現場にもよく連れていってもらいました。家にあったDVDで父や叔父の作品に触れるようになったのは、もう少し経ってからです。

――表現する仕事以外に、興味を持っていたことはありますか?

窪塚 興味の半分が表現の仕事、もう半分は陸上でした。小学生のとき、将来の自分を粘土で針金に張りつけて作る授業があって、1位でゴールテープを切る陸上選手を作った覚えがあります。日本代表のユニフォームを着せて。中学1年生までは、本気で陸上選手になろうと思っていました。

©杉山拓也/文藝春秋

 表現者のほうは漠然とした目標で、自分に向いているかはともかく、やってみたいと思っていたんです。一方で陸上は、足が速かったので、がんばればアスリートになれると言われていて。だからコツコツ練習していましたが、中学の部活の方向性と合わなくて、それをきっかけに陸上は放棄してしまいました。

 そこからいろいろなカルチャーに興味を持ちはじめました。