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「相手の気持ちをそのまま抱きしめてあげられたら…」父は俳優、母はダンサー…芸能一家に生まれた窪塚愛流(20)が考える“幸せな家族のカタチ”

窪塚愛流インタビュー#1

2024/05/11
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生まれ育った“特殊な環境”とは?

――昨年、親子で同席したある会見の場で「愛流をけっこう特殊な環境で育ててしまった」とお父さまが話していました。特殊な環境というと?

窪塚 小学1年生のときに福島で原発事故が起きて、直後に家族で関西へ引っ越したんです。幼馴染と離れたり、そのあと両親の離婚があったりして、物理的には近くに親がいましたが、心のなかではひとりぼっちだなとよく感じていました。

 慣れない土地で、家庭環境も複雑ななか、そばにいてくれたのが映像作品でした。まだ幼かったので、アニメをずっと観ていたことを覚えています。

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 いまは新しい母親と実の母親、父親と僕とで仲良く交流していて、僕からすると母がふたりいるような感じです。中学2年生のときに妹が生まれて、14歳にしてお兄ちゃんになったのも、特殊なことなのかもしれません。

©杉山拓也/文藝春秋

――でもご自身の実感では、特殊だと感じていないようですね。

窪塚 自分はそれが当たり前だと思ってきました。むしろその環境だったからこそ、人に感謝できる人間になれた気がします。なにもない1日を楽しむとか、考え方を豊かにしてくれたのもその環境だと思います。

 たしかに悩んでいたこともあったし、ひとりで縮こもっている時期もありました。でもそれがいつか俳優の仕事の肥やしになるかもしれないので、いまはすべてプラスに考えています。いままでの人生をネガティブには受け取りたくないです。

©杉山拓也/文藝春秋

孤独を紛らわせてくれたのは映像作品と……

――ひとりぼっちだったときに孤独感を紛らせてくれたものは、映像作品のほかになにかありますか?

窪塚 引っ越してきた初めのころは家がダンボールだらけで、ひとりでいると気分が下がってしまうので、近所の公園で友だちを作っていました。それも親同士がまず仲良くなるのではなく、ひとりで公園に行って、帰るときには公園のみんなが友だちみたいな(笑)。そこから家族ぐるみで仲良くなって、いまも仲のいい友人がいます。

 初対面の人とも壁を作らずに触れあえるタイプなんです。それは昔から変わらないと思います。