「芝居は自分が思っていた深さより、もっともっと深かった」そう語るのは若手注目俳優の窪塚愛流(20)。戸惑い続けた撮影現場でもがきながら学んだ彼には、今も胸に秘める教えがあるという。初主演映画『ハピネス』(5月17日公開予定)を前に、充実の時を迎える彼の素顔に迫った。(全2回の後編/前編を読む)
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中学2年生でデビュー。その後仕事を継続しなかった理由は…
――中学2年生のとき、窪塚さんは映画『泣き虫しょったんの奇跡』でデビューしましたが、そのあと仕事を継続することはしませんでした。
窪塚 そのときけっこう悩みました。仕事と学生生活のどちらかを選ぶ、人生の分岐点だったので。でも仕事はいずれしなければならないけど、いまは学生生活を謳歌したほうがいいと父親に勧められて、その選択をしました。
――中高生のころはどのように過ごしていましたか?
窪塚 ただひたすら友だちと遊んでいました。放課後に友だちと遊びにいく時間が楽しかったです。休日には釣りをしたり、買い物をしたり、遊園地に行ったり。学生にしか味わえない、自由な時間を満喫しました。
くだらない、ばかげた遊びを友だちとくり返す日々だったので、遊びすぎて学力はものすごく低かったです(笑)。高校に行きたいと両親に話したとき、「え、高校に行くの?」と驚かれたくらいなので。
――それくらい学生生活を楽しんでいた、と。
窪塚 はい。僕が入学した高校には、芸能活動やスポーツを通じて活躍する生徒を応援するコースがあって、アイドルや舞台俳優の卵、スポーツでずば抜けた才能のある子がたくさんいました。活動の実績が重視される学校で、僕は『泣き虫しょったんの奇跡』に出演していたので、たまたま入学できたのだと思います。
高校2年生の終わりまで、ずっと遊んでいました。でも先生とすれ違うたびに「いつ仕事するんだ?」と言われて、「来月かな?」と聞き流すうちに、「自分はなんでこの学校にいるんだろう」と思いはじめました。
僕以外はみんな活動をしていて、前の席の子も、隣の席の子も、放課後には仕事やスポーツに専念しているのに、遊びに没頭するやつがひとりだけいる。未来に向けてがんばっている子に囲まれるなかで、自分が負けている気がしました。
僕はもともと負けず嫌いではありません。でも「明日は仕事」とか、「今日は遅くまで練習」とか、そういう言葉がクラスに飛び交うなか、自分がひとりだけ置いていかれている状況が俯瞰で見えてきた。それで自分も絶対にできるはずだという気持ちがふつふつと湧いてきて、高校3年生になる前に仕事を本格的にしようと決めたんです。3年前のことでした。