文春オンライン

パクリ放題のウェブ記事に中国ライターが戦いを挑んで起きたカオスな事件

「漫画村」問題は氷山の一角にすぎない

2018/04/16
note

パクリブログを運営していた社労士

 というわけで、記事のパクりには実に腹が立つのだが、パクリ記事ブログやテキスト動画の制作者の連絡先はわかりづらく、通常は相手側の住所も本名も不明なので、法的手段に出るどころか警告文を送ることも簡単ではない。

 ……だが、世間にはたまにいるのである。本名や所属先を丸ごと公開したうえで、平気で全文コピペ記事を自分のブログで大量に公開し続けるような、無駄にアグレッシヴすぎる豪の者が。例えば先に挙げた私の中国ベンチャー記事については、なんと下記の画像のような猛者(以下、X氏)がいた。

 ブログを開いてみると、元記事のタイトルから写真のキャプションに至るまで、私が他の媒体に書いたはずの記事が一字一句違わずコピペされ、公開されている。さらにブログ内を確認すると、X氏本人が書いたと思しき記事や、社会保険労務士である彼の事務所の広告宣伝に混じって、『フォーブス』WEB版など他の複数のネット媒体からの完全コピペ記事がいくつも見つかった。

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 大胆なことに、ブログのプロフィール欄にはX氏の本名や顔写真、事務所の住所・電話番号のほか、彼の生年月日や血液型まで掲載されている。それどころかブログの題名は『○○(※X氏の名前)オフィシャルブログ』。彼の社労士事務所の宣伝のために運用されているようだ。なお、X氏のまたの名は「成功哲学者」だそうである。

 彼が記事をアップしたのは2017年11月7日だった。おいおいちょっと待てというわけで、私は翌8日にツイッター上の彼のアカウントに事実関係を尋ねるツイートを送ったのだが、彼はこれを黙殺。ツイッターのタイムライン上に「これは『シェア』だ」といった内容の主張が投稿されていたうえ、ブログにはどうやら他のネット媒体からのコピペらしき記事が新規に投稿されていた。

 著作権侵害行為を開き直ることもいただけないが、なにより国家資格を取得した士業の人が、法律を平気で破っているのはもっといただけない。ツイッターでは相手にされなかったので、X氏のフェイスブックを探し当ててメッセージ機能を使って連絡を取ったところ、ようやく返信をもらえたのだが、「記事をシェアしただけ」といった主張をされて、やはり埒があかない。