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――エジプト人女性が少ない日本に来ることに対して、不安はありませんでしたか。

 世界的にアラブ人のイメージがあまり良くないので、自分が日本人にどう受け入れられるか、最初は不安でした。でも、暮らしてみても差別という感じはしないですね。目立っているのはわかりますけど、どんな国でも、違う国の人が来たら目を引くのは仕方ないことで、それを差別だとは思わないです。

 ただ、この顔で「エジプト人」というと、みんなびっくりするんですね。そこは悲しいです。

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©︎細田忠/文藝春秋

――今日の衣装は『アラジン』のジャスミンをイメージしてきてくださったそうですが、まさに彼女のような、黒髪で褐色のイメージが強いからでしょうか。

 先ほど言ったように、エジプト人女性が国外に出ることが少ないのであまりわからないのかもしれませんが、エジプト国内には、私みたいな青い目の人はたくさんいます。中東の戦争などの影響で他国からいろんな人がエジプトに来ていて、私のようなエジプト人も多いです。だから、“ジャスミン”だけじゃなく、実際にはいろんなエジプト人がいるんです。

日本語に出会って、やってみたらすごくしっくりきた

――改めてですが、念願だったカイロの大学で学び、建築家としても活躍されていた中、キャリアを置いて日本に来ることに怖さや迷いはなかったですか。

 正直、私はすごくなりたくて建築家になったんじゃなくて、ハルガダという田舎では就けない、いい仕事を見つけたいという気持ちが先でした。大学に入って勉強をはじめた時、これは自分には向いていない、と感じる部分がたくさんありましたが、お金のために頑張っただけなんです。

 そんな時に日本語に出会って、最初はすごく難しいように思えたけど、やってみたらすごくしっくりきたというか。

――建築の勉強よりも楽しかった?

 そうなんです。自分でもビックリしたけど、ハルガダに居ると日本語でできる仕事、みたいなことはまったく思いもつかなかったし、そういう職業もかつてはなかったんですね。日本語を使って何かを発信する方が自分には向いている、と思えました。

©︎細田忠/文藝春秋

――将来的にも、日本で暮らしていきたいですか。

 そうですね。日本は四季があって、それがすごく好きです。子育ても、ベビールームがいろんなところにあったりして、私はすごくやりやすい。今後も家族と、平和な日本で暮らしていけたらいいなと思っています。

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