文春オンライン
「被害者だと思っていた自分がふとした瞬間に加害者になってしまう」謙遜しがちな人が持つ“自虐の刃”

「被害者だと思っていた自分がふとした瞬間に加害者になってしまう」謙遜しがちな人が持つ“自虐の刃”

2024/04/30

source : 文春コミック

genre : エンタメ, 読書, ライフスタイル

note

「謙遜というのも難しいもので、『50点しか取れない人間ですけどよろしく』と言われると嫌だなと思うけど『70点を目指してはいるのでよろしく』だと仕方がないか、と思いますよね。

 50点の方は、自分のダメさを相手に丸投げしていて、70点の方は、半分ぐらいは自分で引き受けているんだと思うんです。誰のために引き受けているかというと、そういう自分を許容しなければならない相手のために、なんだと思います」

自虐の刃が他人に向けられるとき

 自虐という形で自分に向けている刃は、ちょっとしたことで他人に向けられてしまう。自分で自分を引き受けること。それはきっと自分にとって大切な誰かを、大切にすることにもなるのだと思う。

ADVERTISEMENT

 

 私自身も、ドラマをやる時以外はいつも自信がなくて自虐的な発言ばかりしてしまうのに、いざ作品のこととなると途端に必要以上に他者に厳しくなり、誰かの心を傷つけたり踏みにじったりしてしまう。多分それらは全く別の話ではなくて、表裏一体なのだと思う。刃が内に向いているか外に向いているかというだけなのだろう。

 まだまだ生き延びるために必死だけど、私もいつかムギさんたちのように、自分の人生を一人称で捉えられるようになりたいし、もっとダメな自分も引き受けて大事な人を大事にできるようになりたい。小さくあたたかな、でもたしかな勇気をもらった。

【マンガ】『おはよう、しっぽ』1話を読む

おはよう、しっぽ

おはよう、しっぽ

川瀬 はる

文藝春秋

2024年4月30日 発売

「被害者だと思っていた自分がふとした瞬間に加害者になってしまう」謙遜しがちな人が持つ“自虐の刃”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春コミックをフォロー