うつむいたままいかにも不機嫌そうに話す都知事
卒業証書や卒業証明書については、うつむいたままいかにも不機嫌そうに話すが、カイロ大学卒業生として記念講演をしたという思い出話は楽し気に話す。声明文については「私自身が関知しているものではありません」と顔を伏せ、視線を上げずに言い切った。
だが記者が、知事自身が発出を依頼した事実はないという理解でいいかと確認すると、急にまばたきが多くなり「基本的にこれ(学歴疑惑)は何度も起こっていること」と述べ、エジプト大使館が「対応されるのは当然だ」と自分の見解を述べた。
だがいくら繰り返し騒動になっているとはいえ、一国の大使館がこのような対応をするものだろうか。そして、それを当然と言ってしまえるだけの関係が小池氏と大使館にあったのだろうか。
この日の最後、小島氏の告発に対処するのかという質問に、小池都知事は「対処方法は考えていく」と書面に目を落としたまま答えた。大した問題ではない、と印象づけているようにも見える。
続けて「問題の本質は極めてシンプルです」と顔を上げた。「カイロ大が卒業を決めた、権限があるのはカイロ大しかない」と淡々と述べながら、語尾を強調した。
「カイロ大が卒業を決めた」と小池都知事は述べたが、この言い方はあまり聞かない表現だ。だが、彼女は違和感なくさらりとそれを口にした。
卒業を認める権限は大学にあり、その大学が「卒業を証明する」という声明を発表した以上、他の人には何も言う権限がない、ということだろう。自分が卒業したかどうかの確認は、メディア各社がカイロ大にやっていると、書面を片付けながら答えて会見を終えた。
繰り返される質問にうんざりした表情が印象的だったが、都民としても何度も再燃する疑惑に早く決着をつけて欲しいのが正直な気持ちだろう。まずは正則アラビア語で質疑応答に臨み、カイロ大学首席卒業というその語学力を披露することから始めてはどうだろうか。