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《記事掲載後、企業社長から抗議を受け、大阪社会部と岡山支局は問題を把握したが、編集幹部らが事態を甘く見て捏造と明確に認識せず、十分な社内検討を経ないまま、8日夕刊に「確認が不十分でした」とする事実と異なる訂正記事を掲載した。訂正記事をきっかけに東京本社編集局が指摘し、捏造を確認した。》

 それにしても皮肉だ。できることなら曖昧な説明で乗り切りたかったという大阪本社の「気分」が伝わってくるが、これは読売新聞が記事にしていた小林製薬の一連の対応と似ていないだろうか。

 談話の捏造に話を戻せば、注目すべきは「トーン」というキーワードだろう。不祥事の追及を目指すあまり、「正義」がベースなら事実と異なる記事もありという不正義が、捏造された談話というかたちで可視化された。

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各記事の「トーン」を読み比べ

 それにしても「トーン」。これを頭に入れて別の読み比べをしてみたい。次のニュースだ。

『築地市場再開発 プロ野球・巨人は移転するのか? 「スタジアム構想」など事業者が内容説明』(NHK5月1日)

読売新聞グループ本社の山口寿一社長 ©時事通信社

 東京都は、6年前に閉鎖された築地市場跡地の再開発を担う事業者を三井不動産を代表としたトヨタ不動産、読売新聞グループ本社など11社の企業連合に決めた。ここに「読売新聞」が入っていることが以前から注目されていた。週刊誌やタブロイド紙ではプロ野球・巨人が本拠地を東京ドームから築地に移転するのでは? と数年前から報道されていたのだ。その噂通りに今回事業者が決定し、およそ5万人を収容できる多機能型スタジアムを整備するなどの提案内容を会見で説明した。

 会見には読売新聞グループ本社の山口寿一社長も出席。巨人のオーナーも務める山口社長は、本拠地を新スタジアムに移転するのか問われ次のように答えた。