「突然、『危険性がある』と言われて驚いた。」
「補償について小林製薬から明確な連絡はなく、早く説明してほしい」
写真説明も「自主回収したソーセージと原料の紅麴を見せる森社長」に差し替えるという。記事の最後には「いずれも確認が不十分でした」とある。
このふわっとした「訂正 おわび」。結局のところ社長は何を言っていたのかわからない。読者はザワザワしたに違いない。
すると4月17日付の夕刊に『談話を捏造 本紙記者を処分』(読売新聞)。
なんと、談話そのものが捏造だったという。要点を抜粋する。
《原稿のとりまとめを担当した大阪本社社会部主任(48)が、談話を捏造していたことがわかりました。》
《取材・執筆した岡山支局の記者(53)も、自身が取材した岡山県内の取引先企業の社長が言っていない内容であることを知りながら修正・削除を求めませんでした。》
ではなぜ捏造したのか?
捏造の経緯は…
社会部主任は「岡山支局から届いた原稿のトーンが、(小林製薬への憤りという)自分がイメージしていたものと違った」と話しているという。さらに取材記者も「社会部が求めるトーンに合わせたいと思った」と。トーン? これは覚えておきたい。
まだある。《8日夕刊で談話を削除する「訂正 おわび」を掲載しましたが、社長が発言していなかった事実が示されておらす、末尾にある「確認が不十分でした」という文言も事実とは異なり、訂正記事にも問題があったと考えています》とあった。
談話の捏造だけでなく、訂正記事も問題という驚きの展開となった。5月1日の読売新聞朝刊には訂正記事掲載の経緯が書かれていた。