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 そこは勘と経験則になってくるので、今の季節のこの時間だとあの辺りに集まってくるよねとか、この子はあの子と仲がいいから近くに寄ってきたら何か起こりそうとか、この子たちは漁師さんからお魚をもらうよねとか、そういう情報を時間と足を使って増やしていく感じです。

 ただ、猫って結構、こちらの気持ちを見透かしているような気がして。

――シャッターチャンスを狙ってギラギラしていると感じとられているような……?

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 そうそう。こっちが狙ってるときはずっと寝てて、今日は無理かな~と思って帰り支度をし出すと、面白いことをはじめたりするんです。

 あとは、長時間歩いたり止まったりしているので、暇と言ったらあれですけど、考える時間が多いんですよね。

 でも、そうすると、いざシャッターを切るときにほんの少し迷いが出てしまうんです。眼の前の“今”でなく、頭の中に気をとられた結果しくじることが山ほどあるから、余計なことは置いておく。で、撮れなかったとしても、「仕方ない」で終わらせるようにしています。

©三宅史郎/文藝春秋

自分はどれだけ気をつけて近づいても猫に逃げられるのに、猛スピードで横切っても逃げられない「爆走おばちゃん自転車」

――猫との距離感で気をつけていることはありますか。

 撮影しはじめた最初のとき、音を立てないようにすごく気をつけて近寄っても、猫に逃げられてしまうことがあったんです。でも、僕だと逃げてしまう猫が、買い物かご一杯に荷物を入れて猛スピードで横切ってくおばちゃんのチャリンコにはなぜかまったく動じなくて。

©沖昌之

「僕の方がよっぽど猫に気ぃ遣っとるぞ」と思ったけど、考えてみたら、そのおばちゃんは毎日その時間にチャリンコで爆走してて、音はするけど、自分にとっては害がない人間だと猫がわかっているんですよね。

――沖さん側が気を遣っていても、猫側の受け止めは違ったんですね。