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東京女子医大の“女帝と疑惑のカネ”、新たに浮上した「1200万白ベンツ」とカギを握る「第三の女」

2024/05/12

source : 週刊文春 2024年5月2日・9日号

genre : ニュース, 社会, 医療

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「私にお金は流入しておりませんし、背任的なことは全くあり得ない」

 こう述べたのは3月29日に警視庁の家宅捜索を受けた東京女子医科大学の岩本絹子理事長(77)。学内の説明会で、疑惑を否定して続投を表明した。だが、「女帝と疑惑のカネ」を結ぶ、第三の女と白いベンツの存在が明らかに――。

岩本絹子理事長

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疑惑の鍵を握る“第三の女”の正体

 3月の家宅捜索は、岩本氏の秘書を10年以上にわたって務めた元職員の女性X(51)が、勤務実態がない同窓会組織「至誠会」から、不正に約2000万円の給与を得た特別背任の疑いによる。至誠会の会計担当だった、元事務長の男性Y(55)にも一連の容疑がかけられている。捜査令状の対象は、この2人だが、警視庁が本丸として追っているのは、岩本氏だと女子医大関係者は語る。

「刑事さんから聞かれたのは、女子医大の取引先からのキックバックと、岩本理事長との繋がりでした」

 岩本氏が3月まで院長を務め、自宅を構えているのが、東京・江戸川区の葛西産婦人科である。ここの職員Zが、疑惑の鍵を握る“第三の女”として、警視庁が関心を抱いているという。

第三の女・職員Z

女子医大の取引先がZの会社に多額の金を支払う理由

 岩本氏が大好きなタカラジェンヌのように長身で美貌のZには、3つの会社の社長という別の顔があった。医院の昼休み中、Zが白衣姿のままATMで多額の現金を引き出す様子が度々確認されている。

 Zの会社の本店がある、東京・日本橋のビルを訪ねると、無人のバーチャルオフィスだった。業務実態がないダミー会社で、なぜ多額のカネを動かせるのか?

 関係者の証言などから、Zの会社は女子医大の取引先企業と「営業協力」「サポート業務」などの名目で、巨額の業務委託契約を結んでいたことが判明した。

 2017年、新校舎の設計などを女子医大から1億6800万円で受注した大手設計事務所は、同時期にZのダミー会社と「顧問契約」を締結。営業協力の成功報酬として、1080万円を支払っていた。

 女子医大の取引先がZの会社に、なぜ多額の金を払う必要性があるのか。

 その答えは、約10年前に始まった女子医大の大型施設を次々と建替える事業にあった。女子医大の元理事が証言する。

「2014年に岩本先生が、女子医大の副理事長に就任すると、校舎などの大型施設の建替えが怒濤のように始まりました。業者との癒着が噂になりましたが、岩本先生は反対意見を言わせない女帝だったので、誰も指摘できませんでした」

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