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全日本選手権の13年連続出場は羽生にもできなかったこと
宇野にとっては、ずっと追いかけてきた相手が引退してから2年での引退ということになる。その時期に世界選手権を連覇し、世界一のスケーターの地位を手にした。1つだけ残念なのは、宇野の選手としてのピークが羽生のピークとずれていたことだ。もし今の宇野が、羽生と同じ試合に出ていたら……。そんな想像に前出の記者は笑った。
「想像したくなる気持ちは分かりますよ(笑)。それでも、宇野選手は今26歳。フィギュアスケートが競技寿命の短いスポーツであることを考えれば、本当に立派な歩みだったと思いますよ」
そして、こう付け加えた。
「宇野さんは全日本選手権に13年連続で出場しています。これは羽生さんにもできなかったこと。怪我で欠場することもなく、ずっと安定して成績を残し続けたのは宇野選手ならではの大きな功績でしょう。もちろん怪我を抱えることはありましたが、それでも怪我を言い訳にせずに大会に出続けました。欠場する選手がいても、宇野さんが出ることが全日本選手権という舞台の価値を守り抜いたとも言えます」
宇野は14日に引退会見を控えているが、今後についてはまだ明らかにされていない。しかしアイスショーへの出演も予定しているようで、彼のスケートが見られなくなるわけではなさそうだ。
ジャンプの比重が高くならざるを得ない競技の世界から、思う存分芸術性と向き合えるプロの世界で、彼にしかできないどんな演技を見せてくれるのだろうか。