小池百合子都知事が2020年の再選時に公約に掲げ、2022年3月から運用が開始された東京都のドクターヘリ。そのドクターヘリ事業において、キャンセル率が約8割という異常事態に陥っていることがジャーナリストの赤石晋一郎氏の取材で分かった。
「誰もが、どんな時にでも、症状に応じた適切な医療を迅速に受けられる体制作りというのが救急医療の基本です。ドクターヘリの運用を開始することで、さらに都民の医療支援を拡充させていきたい!」
2022年3月30日、杏林大学医学部付属病院で開かれた東京都ドクターヘリ就航式。主賓として登壇した小池都知事は高揚した様子でこう語った。
「このままでは救える命も救えなくなる」
ドクターヘリとは、医師や看護師を乗せて傷病者のもとへ向かう救急医療用ヘリコプターのことである。
小池都知事は2020年の2度目の出馬の際に政策集「東京大改革2・0」を発表。そのなかで、街づくりの一環として「ドクターヘリの強化」を明記したのだ。
「かねてからドクターヘリ事業については都議会公明党が推進を働きかけてきました。小池氏は2期目の出馬に際し、公明党案を丸呑みし、自らの肝煎り政策として掲げるようになった。都のドクターヘリ事業は、杏林大学医学部付属病院が医師・看護師を派遣する『基地病院』となり、ヘリの運航は入札の結果、学校法人ヒラタ学園に委託された。現在は多摩地区などの西東京エリアのみで運航されています」(都政関係者)
ドクターヘリの就航から2年。都内の医療関係者は「小池政策は穴だらけ。このままでは救える命も救えなくなるのではないか」と危機感を募らせる。
都のドクターヘリ事業が抱える大きな問題のひとつが「異常なキャンセル率の高さ」である。