東京だけ異常に高いキャンセル率
都道府県ごとの運航データが明記されている「2023年度ドクターヘリ事業運航実績」(全日本航空事業連合会作成)によれば、都のドクターヘリの運航回数1360回のうち、患者を運んだ回数は306回、患者を運ばずに戻ってきたキャンセルの回数は1054回だという。
計算するとキャンセル率は77%、実に約8割となっている。前年度における東京都のキャンセル率を調べてみると、やはり78%と高い数字である。
隣県の数字をみると、埼玉県は10.7%、千葉県は27.9%。東京都を除いた全国平均を調べると、18%と低い水準で収まっており、東京都の数字がいかに異常であるかが判る。
これには日本航空医療学会のトップである猪口貞樹理事長も首をかしげる。
「東京都のキャンセル率はあり得ない数字です。他の都道府県の数字を見ても、通常のキャンセル率は20%、高くて50%程度です。ドクターヘリは、症状を重めに判断し、出動のハードルを低くするオーバートリアージという考え方で運用されますが、それはどの都道府県も同じ。なぜ東京都だけが8割近いキャンセル率になるのか不可解です」
6月5日(水)配信の「週刊文春 電子版」および6月6日(木)発売の「週刊文春」では、赤石氏による東京都のドクターヘリに関するレポートを3ページにわたって掲載する。不透明な落札経緯、国交省が運航事業者であるヒラタ学園に出した「事業改善命令」と「警告書」の中身、医師・看護師を派遣する杏林学園の理事長が「委託会社の変更を真剣に検討する」と語ったインタビューなどを詳しく報じる。
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