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試写でいちばんドキドキしたシーン
──雪乃と湊人の連弾のシーンをはじめ、〈音楽〉がきわめて重要な意味をもつ映画でした。やはりピアノはかなり練習されたのですね。
古川 クランクインの1カ月くらい前からレッスンを始めました。
さすがにすべてのシーンを自分で弾いたわけではありませんが、自分の身体が映る演奏シーンは“ちゃんと弾いてる”ように感じてもらう必要がありましたし、ピアノは雪乃と湊人にとってのコミュニケーションツールでもあります。
とくに連弾のシーンでは演奏そのものよりも、隣にいる湊人への気持ちを表現したり、どうコミュニケートするかのほうが重要だと感じたので、その演技に集中するためにもピアノを猛特訓しました。
──たしかに、この映画ではキスシーンのようないわゆるラブシーンよりも、連弾シーンにお互いへの感情が強く表れていると感じました。
古川 私も試写で完成した映画を観たときに、雪乃と湊人が初めて連弾する場面──しかも鍵盤の上で動くふたりの手に寄ったカットにいちばんドキドキしたんです。
指と指が触れてしまってハッとするところなんかは心臓が早鐘を打つ音が聞こえてきそうで…。ふたりの表情は見えないけど、だからこそ想像を掻き立てられるというか。