エヌビディアの2つの死角
懸念材料は、それだけではない。中国経済に詳しいジャーナリストの高口康太氏が解説する。
「アメリカによる中国への最先端半導体の輸出規制が、エヌビディアの成長の足を引っ張っています。中国における同社の収益は、昨年8月から10月期は約40億ドルでしたが、11月から今年1月期は、約19億ドルと半減。売上全体に占める割合も22%から9%に下がった。もし今年の大統領選挙でトランプ氏が当選すれば、さらに規制が強化され、エヌビディアは、世界第二の市場を失うこともありえます」
“もしトラ”は、さらなる死角も生むという。それが中国の「半導体内製化」だ。
「今後中国は、米の規制に抵触しないように性能を落としたエヌビディアの半導体を買うことになります。すると、中国のIT企業は、ファーウェイなど自国の半導体に切り替える機会が増える。つまり中国の半導体の内製化が加速するのです。ファーウェイの技術がエヌビディアの技術にすぐに追いつけるとは思いませんが、いずれ強力なライバルとなる可能性がある」(同前)
「僕自身はサプライズではないです」
内製化と中国リスク。2つの死角をどう捉えるのか。エヌビディア日本法人の大崎真孝代表を直撃した。
――株価の急上昇をどう見ている?
「確かにイーロン・マスクさんの投資は規模が大きかったですけど、世界中でああいうことが起こっているので、僕自身はサプライズではないです」
――投資ブームは減速しない?
「データセンターへの投資は世界中で広がっています。そして次のステップは、AIを使ったサービス、製品がもっと生まれることです。今後は(需要が)もっと加速していくと思います」
――ソフトバンクをはじめ、AI半導体の「内製化」への懸念は?
「特に感じていないです」
――米大統領選でトランプ氏が当選すれば、対中制裁が強化される可能性も。
「すみません。それについては、僕からコメントできないです」
――報酬の一部が自社株で支払われている。株価高騰で社内に高揚感は?
「雰囲気は変わっていないですよ。浮かれている感じは全然ないです(笑)」
社員もやっぱり一生一緒にエヌビディア?
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