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《時価総額世界トップに》半導体大手エヌビディアの日本代表に「2つの死角」を直撃した

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「世界の名だたるIT企業が、エヌビディアの半導体を欲しがり争奪戦が繰り広げられています。『一生一緒にエヌビディア』なる流行語が飛び交うほど、この先も右肩上がりの成長をすると予測する投資家は多い」(経済部記者)

 株価が半年で2倍以上に跳ね上がったが――。

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世界のAI半導体需要の急増

 生成AI(人工知能)に欠かせないGPU(画像処理半導体)の世界シェアの約8割を握っているエヌビディア。5月22日発表の2025年第1四半期決算によると、売上高約260億4000万ドル(約4兆円)で過去最高を更新した。前出の経済部記者が語る。

「米IT大手がAIの新たなサービスを相次いで発表し激しく競う中、データセンターで使われる半導体の需要が急増した。利益は前年同期比で約7倍。市場の予想をはるかに上回る結果になりました」

エヌビディアのジェンスン・フアンCEO

 株価も驚異的に上昇した。

「5月29日には約7%上がり、史上最高値を3営業日連続で更新。イーロン・マスク氏のAIスタートアップ企業xAIが60億ドル(約9000億円)の資金調達に成功し、新たな需要が生まれる可能性が出たことも、株価を押し上げた要因です」(同前)

 しかし、エヌビディアの1人勝ちには、思わぬ死角が生まれつつあるという。ジャーナリストの森岡英樹氏が語る。

「世界のAI半導体市場は、27年に18兆円規模にまで膨らむと予想されています。一方でエヌビディアに依存し続けるわけにいかないと考えたIT大手が、独自の半導体開発をする“内製化”の動きを進めているのです。チャットGPTを開発したオープンAIは4月に来日したCOOのブラッド・ライトキャップ氏が、半導体関連企業の幹部と会談。『(半導体の)供給網に関連して日本と幅広く協力する』と語っています。さらに、ソフトバンクも独自の調達網の構築が囁かれています」

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