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監査統括官のサイン欄が空欄

 では、「卒業証明書」の方はどうだろうか。

(5)〈本学部は証明する。Mr.コイケ・ユリコ 1952年7月15日、この日付で日本で生まれた〉

「小池氏が男性形のMr.で表記されている点です。一部に『カイロ大学が発行した卒業証明書では、よくあること』との指摘もあるようですが、アラビア語の専門家がいる文学部を持つカイロ大学がそのことを自ら“公式に”認めているのでしょうか」

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(6)〈監査統括官(サイン空欄)〉

「監督統括官のサイン欄が空欄なことにも違和感を覚えます。監督統括官は試験段階の監査と監視、審査、試験結果の作成などを任務とする委員会のトップ。その人物のサインがない卒業証明書は『瑕疵ある卒業証明書』と言えるでしょう」

「日本の民主主義の根幹にかかわる重大事件」

(7)〈1977年1月12日発行〉

「この発行年月日が最大の疑問点です。『卒業証明書』は1977年1月12日発行と記されていますが、『卒業証書』は1978年11月発行。1976年12月29日に卒業したという『卒業証書』の記述を踏まえると、『卒業証明書』だけ卒業したとする日から2週間足らずのうちに迅速に発行され、『卒業証書』は2年後に発行されたという不思議な順序になるのです。また、卒業日が1976年12月29日だとすると、同年の12月は残すところ30日と31日だけになります。31日はイスラム教の世界では休日の金曜日だったことに加え、小池氏が正月に日本に帰国していたことを考えるとこの日程の中で小池氏は一体、いつ『卒業証明書』の発行をカイロ大学側に要請し、いつ受け取ったのでしょうか」

東京地検に提出された告発状 撮影・吉田暁史/©︎文藝春秋

 これら計7つの“重大証拠”に加え、カイロ大学声明の発出経緯について小池氏が自身の関与を否定していること、カイロ大学時代の同居人である北原百代氏の証言を直接聞いたことなどを踏まえ、小島氏は学歴詐称を確信したと話す。

「小池氏は長年にわたって虚偽事実の隠蔽をしており、情状は重いと言わざるを得ません。本件は外国の関与や影響によって日本の政治や選挙が歪められる恐れがあり、主権の独立性という日本の民主主義の根幹にかかわる重大事件だと考えます」

 刑事告発に対する受け止めについて小池氏側に書面で問い合わせると、次のように回答した。

「卒業についてはカイロ大学が認めています。卒業証書と証明書はカイロ大学の正式な手続きにより発行されたもので、何度も公にしています。卒業を証明出来るのは大学のみであり、他者ではありません。選挙のたびにこうした話が取り沙汰されることは残念であり、カイロ大学の名誉を棄損するものと考えます」