“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家・野崎幸助氏(当時77)が和歌山県田辺市の自宅で死亡した2018年の事件で、夫殺害の罪に問われている「55歳年下」の元妻・須藤早貴被告(28)。野崎氏とは別の男性から現金約3000万円をだまし取った罪に問われている裁判で、5日、検察側は須藤被告に懲役4年6か月を求刑した。
裁判では、被害者も嘘と分かって金を払っていたと主張し、そのうえで、金を受け取るたびに体を触られていたとして「私が詐欺師なら被害者は性犯罪者だと思う」と述べた須藤被告。一体どんな人物であったのか。須藤被告の正体に迫った文春オンライン特集班の記事を再公開する(初出:文春オンライン 2021年4月29日掲載 年齢・肩書等は公開当時のまま)。
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2018年5月24日、“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家・野崎幸助氏(当時77)が和歌山県田辺市の自宅で死亡した。55歳年下の妻と2人きりで夕食をとった後、2階の寝室で仰向けになって倒れているのが発見されたのだ。野崎氏の体内からは致死量を超える覚せい剤の成分が検出され、和歌山県警は殺人事件を視野に捜査を続けていた。
この資産家の謎の死について、連日メディアが報じた。犯人ではないかと疑いの目が向けられたのは妻だ。野崎夫妻は、2017年末に知人の紹介で知り合い、翌18年2月に結婚。事件が起きたのは、そのわずか3カ月後だった。野崎氏は約13億円にのぼる遺産を田辺市に寄付するという遺言を残していたが、妻も遺留分として数億円を相続するのではないかと見られていた。
「状況的に野崎氏に覚せい剤を摂取させることができたのは妻だけでした。しかし妻を逮捕するための決定打がなかなか見つからず、和歌山県警は約3年にわたって捜査を続けてきました。そしてようやく、妻が薬物を入手した状況を突きとめたのです。逮捕は目前だったが、須藤容疑者が近いうちにドバイへの高跳びを目論んでいることが判明し、急遽の逮捕に踏み切ったというわけです」(大手紙社会部記者)
事態が動いたのは2021年4月28日早朝。東京・品川区内にある高級タワーマンションで野崎氏の元妻、須藤早貴容疑者(25)が逮捕された。夫殺害の罪に問われている美貌の若妻は、これまでどんな人生を歩んできたのだろうか——。
北海道で育った中学時代「バドミントン部に所属していた」
須藤容疑者が生まれ育ったのは北の大地・北海道だ。取材班が入手した中学時代の卒業アルバムに写る須藤は、素朴な、どこにでもいる少女だった。前髪が少し長めで、集合写真では後ろの方で控えめに写っている。
「小学生の頃の早貴についてはあまり覚えていないのですが、いつもちょっと古いデザインの服を着ていたので、誰かのおさがりなのかなと思った記憶はあります。中学ではバドミントン部に入部していましたが、活発なタイプというよりも、静かで大人しかった。高校は授業料が安いからという理由で公立高校に進学しました」(小中学校時代の同級生)
しかし高校入学後は「メイクをし始めてちょっと派手になった」(同前)という。高校の同級生が、当時の須藤容疑者について振り返る。