「今日のお客さんはみんな現地の人ですよ」
メニューもまさに外国版。メインで頼むオーダーはすべて凄まじい分量。ステーキなどの肉料理を中心にサイドディッシュに山盛りのポテトやオニオンそしてサラダ。皿を片付けに来た女性にさりげなく聞く。
「繁盛してますね。この季節でもこんなに外国人の旅行者は多いのですか?」
彼女は一瞬きょとんとした表情をみせてから私たちに答えた。
「いいえ、今日のお客さんはみんな現地の人ですよ」
彼女のこの発言におどろくと同時に、白馬村ですれ違うドライバーの顔の謎が解けていったのだ。
廃業したペンションを買い取って経営する外国人が急増中
現地の人に聞くとここ数年で外国人の定住者は増え続けており、村内の廃業したペンションや保養所を外国人が買い取って外国人客向けに改装して経営する人がどんどん増えているという。オーナーはオーストラリア人を始め中国系も多くなっているとのことだ。
実はこの現象は白馬村だけの特異なものではない。先日総務省が発表した人口動態調査では、日本の人口は1億2670万人(2017年10月)。前年に比べ22万7千人減少する中、外国人居住者は200万人の大台に達し、前年比でも14万7千人も増加しているのだ。外国人定住者の増加はある意味で日本の人口減少を緩和する役割を果たしているとも言えるのだ。
池袋はチャイナタウン、高田馬場はミャンマー人街に
東京都の人口は1372万4千人。前年比で約10万人の増加だが、この増加分の3割以上、3万4393人が外国人の増加である。すでに都内でも大久保のコリアンタウンには新たな勢力として多数のイスラム系住民が、池袋界隈は完全なチャイナタウンへ、東西線西葛西駅に降り立てば、日本中のインド人が集結したのではないかと思われるほどの数のインド人が、そして学生街だった高田馬場はミャンマー人街へと街の姿はどんどん変貌していることがわかる。
なんだかだと外国人を毛嫌いする向きはあるが、そんなことはお構いなしに日本社会のグローバル化は着実に進んでいる。彼らが創る新しいマーケットが日本の新たな成長力になるかもしれないのだ。農林水産省の調査によれば日本の農業人口は209万人(2015年)、いまや農業人口並みになった外国人の取扱いは今後の日本を左右する重要な課題なのだ。