「同期とは『なんで今変えるかねえ』なんて言い合ってますよ。戻せるものなら戻したいね! それが慶応OBの本音ですよ。ただ、1000円札の図案になった北里柴三郎が、慶應義塾の初代医学部長だから、それでよしとしようと思ってます」
「慶応のいやらしいプライド、俺、好きじゃない」
なによりコネを尊ぶ学風がにじむが、身内贔屓を厳に戒めるOBもいる。石破茂衆議院議員の話。
「そりゃ、福沢先生は『塾祖』だよ。慶応に入るときは『福翁自伝』『学問のすすめ』『瘠我慢の説』とか読まないと面接通らないからね。尊敬もしてますよ。でもね『だから福沢先生じゃないと』みたいな慶応のいやらしいプライド、俺、好きじゃないんだ。それと福沢先生を敬うのは別のこと。そんな暇があったらね、福沢先生が書いた本を1つでも余計に読んだらどう?」
至極冷静な石破氏だったが、最後にひと言「(紙幣の肖像に)大隈重信って話は聞かないね」と、都の西北を腐すのは忘れなかった。
うなるほど1万円札を扱ってきた経済人のOBはどうか。「餃子の王将」を経営する「王将フードサービス」二代目社長を務めた望月邦彦氏に聞いた。
「自分は福沢先生、渋沢さん両方の信奉者です。大学は慶応だけども、私の親族は大いに渋沢さんにお世話になったんです。渋沢さんは、どれだけ成功しても財閥を作らなかったでしょう。これは『世のため人のためにやるんであって、自分のためではない』ということ。福沢先生も民のために尽くした。そういう意味では福沢先生と渋沢さんは考えが非常に似ている。だから今回の変更は大歓迎です」
天は人の上に人を造らず。お金にも新旧はあっても上下はない。
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