少子化で子供の数は減り続ける一方で、私立小学校の志望者は右肩上がり。“お受験市場”は過熱している。

 文部科学省の「学校基本調査」によると、小学校の生徒数は2013年に約670万人だったが、2023年には約605万人に減少。だが、私立小学校の生徒はこの10年間で約7万8000人から8万人に増加しているのだ。

 小学校のお受験情報サイト「お受験じょうほう」によると、今年度入学の首都圏にある私立小学校の総志願者数は約2万4000人にも上るという。

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「小学校受験というと、かつては一部の良家子女の人たちのものでしたが、今は小学校が増え一般的な家庭でも進学の選択肢の一つになっています。都心部のお受験熱は高止まりしていて、名門校への入学は少子化となった今も狭き門であることに変わりはありません」(「お受験じょうほう」を運営するバレクセルの野倉学代表)

バレクセルの野倉代表(HPより)

「私立のお受験の最難関」で囁かれる“あるワード”

 中でも「私立のお受験の最難関」と言われるのが、慶應義塾幼稚舎(以下、幼稚舎)だ。今年で創立150周年を迎える伝統校で、定員144名に対して、例年の受験者数は1500人を超える。OBには元皇族をはじめ政治家や財界人、タレントなど多数の著名人が名を連ねる。

 幼稚舎のような伝統校でまことしやかに囁かれているワードがある。それは、

「コネと縁故」――。

慶應義塾幼稚舎のホームページ

 実際、ある大手の塾では、親が慶應義塾幼稚舎OBの人向けの特別クラスが設けられていたり、紹介がないと入れない個人塾が存在したり、受験者にとって「縁故」は大きな悩みのタネとなっている。