グラウンド外での思い出
マウンドを降りれば、親しみやすい“関西のお兄ちゃん”。2軍の鳴尾浜球場で顔を合わせると「2軍に何の用や! 仕事サボりにきたんやろ。スポニチの先輩にチクるぞ!」と半笑いで、激怒されたことは、1度や2度ではない。
寿司店で筆書きのメニューを険しい表情で見つめ「達筆すぎて読まれへんわ」とお茶目な一面も見せたと思えば、世間が将棋の藤井聡太六段の話題で持ちきりになると「俺も棋士に転向するわ」と高らかに“転職”を宣言。取材現場での「名言妄言」を取り上げるスポニチの名物企画「隠しマイク」への登場回数も多かった。
そんな高宮氏がスポニチ史上、一番大きく扱われたのは、16年1月17日付の2面。後輩の島本と京都で合同自主トレを行い、武将・明智光秀も山頂を訪れたという愛宕山を下半身強化の一環で登頂した。「明智光秀が登ったことは知らんかったけど、明日は1面やろ! そうじゃなかったら、もうお前は、取材禁止や」。残念ながら2面に収まったが、「まぁ、こんなもんやろ」と、翌日、どこか満足げだったのも、あの人らしかった。
「島本は、頑張ってるんか? 中谷はなんで1軍におらんねん?」。兄貴肌で、後輩からも慕われた男は、やはり若虎たちの近況が気になるようだ。
「どうせ、暇つぶしに電話かけてきただけやろ! 明日も仕事や、またな!」。コアな虎党の皆さま、ご安心を。高宮和也は第2の人生も“らしく”歩み始めている。
遠藤礼(スポーツニッポン記者)
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