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10日の阪神戦でも内海を援護する決勝3ラン!

 その輝きを堀内政権のころからチームを支えてきたスタッフはあの人物に例えた。

「最近の慎之助はメジャーに行く直前の松井秀喜に似てきたんだよね。ベンチにいるだけで絶対的な存在感を放っていたあの頃の松井に」

 2002年シーズン、松井は自己最多の50本塁打を放って自身3度目の本塁打王に輝くと、海を渡った。王のままアメリカに去り、ついに帰ってこなかった松井。一方で、長く王に君臨し、緩やかに衰えていく姿を見せながらも、ファンの温かい声援を受けて野球人生を締めくくろうとしている阿部。ある意味対照的な野球人生だな。

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 そう思っていた矢先だった。

 6日のDeNA戦で今季初のスタメンに名を連ねた阿部は6回に特大のアーチをかけてみせた。さらに10日の阪神戦では盟友内海を援護する決勝の3ランを叩き込む。

“まだ下りないよ”

 長く座ってきた4番の座に舞い戻って放った2発の本塁打には、そんなメッセージが込められている気がした。

最終章にはまだ早い ©文藝春秋

 シーズン前、阿部は「巨人が強くなってほしいから、若い選手に出てきてほしい」という趣旨の発言を繰り返していた。でも、「やはり」と言うべきか。実際に試合に出られなくなったら、黙って座っているようなタマではなかった。

 歩が金になることはあっても、王が銀になることはない。とんねるずの番組は終わり、イチローすらも一線を退いた2018年。時代の流れは誰にも止められないが、阿部慎之助に「いぶし銀」は似合わない。

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