7月30日、公正取引委員会は、アメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」の日本法人「ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)」に立入検査を実施した。
容疑は独占禁止法違反の「不公正な取引方法」。HDJはディーラーに対し、ディーラー側が希望していない過去の売れ残り車両などを強制的に出荷していた疑いが持たれている。
「週刊文春」はこれまで複数回にわたってHDJによる"ディーラーいじめ"の実態を報道。編集部にはディーラー経営者たちの悲痛な声が次々と寄せられていた。
今回の公取の立入検査のきっかけとなった当時のスクープ速報を再公開する。(初出:文春オンライン2024年5月9日配信。年齢・肩書等は公開当時のまま)
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世界的な人気を誇るアメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」の日本法人、ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)が、ディーラーの元オーナーと総額4500万円の資金返還をめぐり、トラブルになっていることが「週刊文春」の取材でわかった。
ハーレーダビッドソンの国内ディーラーは全てHDJと正規契約を結んだ別会社だ。今、そんなHDJの全国のディーラー経営者から悲痛な声が次々と上がっている。
“ハーレー界隈の有名人”との金銭トラブルが発覚
「週刊文春電子版」はこれまで2度にわたり、HDJとディーラーの間で起きている数々のトラブルを報じてきた。過剰なノルマを達成するためにディーラーが車輛を自ら買い取る自爆営業が横行していること、経営難から全体の1割に当たる店舗が閉業という選択をしたこと……。編集部には次々と情報が寄せられている。
そんな中で新たに発覚したのが、元ディーラーオーナーとの間で起きた金銭トラブルだ。
小誌の取材に実名・顔出しで告発するのは、1998年から2019年まで約20年間にわたって「ハーレーダビッドソン福岡」のオーナーを務めた西本光春氏(67)だ。
ハーレーライダーのコミュニティー「ハーレーオーナーズグループ福岡チャプター」の運営に注力して地道に顧客を増やし、幾度となく売上上位のディーラーに選出されてきた西本氏。ディーラーのオーナーから退いた現在は、経営権はないものの「会長」という肩書きでハーレーダビッドソン福岡に残っている。震災地のボランティア支援や児童虐待防止を呼び掛けるイベント運営など社会活動にも力を入れており、地元紙で取り上げられたこともある。
そんな“ハーレー界隈の有名人”とHDJの間で起きた金銭トラブルとは何なのか。