世界的な人気を誇るアメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」の日本法人、ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)。同社と契約している複数の正規ディーラーが、販売ノルマを巡ってHDJと対立し、深刻なトラブルになっていることが「週刊文春」の取材でわかった。
1903年、アメリカのウィスコンシン州で設立されたハーレーダビッドソン。米国内のシェアはトップの20%、世界シェアだと約4%で業界4位の規模を誇る一大モーターサイクルブランドだ。日本では1989年にHDJが設立されて正規販売がスタート。その人気は根強く、芸能界でも草彅剛や所ジョージなどハーレーダビッドソン愛好家は多い。2023年は創業120周年というメモリアルイヤーである。
販売を担うのがディーラーだが、HDJには直営ディーラーはない。全国に106ある店舗(※9月1日時点)全てが正規ディーラー契約を結んだ別会社となっている。
今回、「週刊文春」の取材に応じたのは、ディーラー店長のA氏。「HDJの方針はおかしいと思う。周囲のディーラー経営者たちも皆そう話している」と語った上で、HDJとの間で深刻なトラブルになっている理由を明かす。
「HDJの2023年度の販売目標は120周年にかけて『前年比120%』と発表されています。私たちはそもそも爆発的に台数が増えるようなビジネスモデルではなく、この数字は現実的ではない。市場の状況を分析したわけでもなく、単に120周年とかけただけの数字で根拠はない。この無理な目標を達成するために、ディーラー各店舗には厳しいノルマが課されています。例えば、関東近郊のディーラーでは毎月約10台、全国最多クラスのディーラーになると、20台以上を販売しなければならない。シーズンになると達成できる月もありますが、店頭販売だけではほとんどが半分に満たないのが現状です」
HDJは各ディーラーのノルマ達成状況を評価するというが……。
「四半期のうち1度でも売上が販売目標の80%に満たない月があると、NGS(Not in Good Standing=悪い状態)と認定されます。NGS認定が次の四半期も続くと、東京の本社に呼び出され、幹部から契約解除するぞと言われてしまう。特に2023年度は無茶なノルマが課されているので、契約解除の危機に瀕するディーラーが続出しています」(同前)