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「ルフィ」事件で有名になった「トクリュウ」とは? 警察は悲願の“仮装身分捜査”の実現に前のめり「米国ではマフィアなどへの大胆な潜入捜査も…」

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 今後の警察当局の方向性を示す『警察白書』が7月26日、公表され、「匿名・流動型犯罪グループ」なる耳慣れない言葉が特集を飾った。内部では「トクリュウ」と略されるこのキーワードをテコに、警察当局は新たな捜査方法の導入を模索している。

「『トクリュウ』は暴力団でも一般人でもない『半グレ』などのつながりを指す。確固たる上下関係があるわけでもなく、SNSなどを媒介に事件ごとにくっついては離れる。これまで捉えにくかった現代型の緩やかな犯罪ネットワークを言語化したものです」(全国紙社会部記者)

仮装身分捜査の導入に触れた今年の『警察白書』

「ルフィ」事件後にできた「狛江事件を二度と起こさせるな」という合言葉

 トクリュウが主に関わるのは、特殊詐欺や著名人になりすましたSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺などの犯罪だ。『白書』によれば、詐欺などの資金獲得犯罪で検挙されたトクリュウは今年4〜5月だけで508人に上ったという。

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「警察がトクリュウの実態解明を本格化させたのは2023年1月にあった東京都狛江市の強盗殺人事件がきっかけです。後に『ルフィ』グループとして知られるようになりますが、警察はこの事件が起きるまで、その実態をきちんと掴めていなかった。『狛江事件を二度と起こさせるな』は警察当局の合い言葉になっています」(同前)

 トクリュウは暴力団と違って組員として登録されるわけでもないため、事件で立ち現れる一人一人の犯罪者の人間関係を辿っていくことでしか浮かび上がらない厄介な連中だ。

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