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 他に、「日本の売上倍増計画」を彼に提案したこともあります。これもほとんど箇条書きのようなものですが、それを書いて送って、すぐに私は辞めてしまった。だから今になってもイーロンは、「日本は倍にできるよ」と言っているようです。社員が「どうやってやるんですか?」と聞いても、イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません。戦略の詳しい中身がわからないからです。

 負け犬の遠吠えでしょうか。

意に反するリストラ。せめてもの抵抗

 私が退職を決めたのは、2023年2月の末と3月の頭に、私の意思と反する2度目か3度目のリストラが遂行されたのがトリガーと言えます。

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 私はなにより、イーロンにはTwitterの事業を成功させてほしいと思っていました。そう考えたときに、日本でのリストラは大きな間違いだと思ったのです。だから無駄な抵抗だとはわかっていましたが、自分が意思表示をすべきだと思いました。

 いわば最後のあがきです。

©文藝春秋

 日本でリストラをしてはいけないことは、すべて指標で説明できます。

 一人頭の売上規模や収益率などをすべてきちんと説明すると、日本の事業には触ってはいけないとわかるはずです。

 でも、グローバルのことを考えている彼にとっては、それはあまり関係ない。「日本の収益率はいいから」とか、そういう話を彼はあまり聞きたくない。だから「全体でとにかくあと500人減らしたい」というときに、日本はまだ人が残っているから「じゃあ日本だね」という話になってしまった。他の国はもう人が減ってしまっているから、これ以上削れないのです。

 でも経営判断としては、絶対にそれは間違いなのです。そこに対する違和感は、あまりにも大きいものがありました。

 このままやっていったら、日本もどこかのタイミングでガタガタッと崩れていく。まだその段階に来ていないだけです。いまは崖っ縁にいるような状態で、このままだと崖から落ちるのは見えていました。

 私にできることには限界がある。だから、自分から辞めようと思っていた矢先に、イーロンからレイオフの通知が届きました。