8月5日発売の「週刊少年ジャンプ」36・37合併特大号(集英社)で、『僕のヒーローアカデミア』(以下『ヒロアカ』)が最終回を迎えた。
本作は、堀越耕平が2014年から10年にわたって連載した人気少年漫画だ。
タイトルにアカデミアとあることからもわかるように『ヒロアカ』はヒーローを目指す少年少女が集まる高校が舞台となっている。
ヒーローを目指して雄英高校のヒーロー科の門を叩いたデクたちは、オールマイトたちプロヒーローの授業を受けることで、成長していく。
劇中では「個性」を用いた戦闘能力を伸ばす授業や、犯罪に巻き込まれた市民の安全をどうやって守るのか? を学ぶ授業が描かれる一方で体育祭、林間学校、文化祭や、プロヒーローになるための仮免試験や、プロヒーローの職場でのインターンシップ(職業体験)といった学生らしいイベントが描かれる。
本作は「ヒーローという存在が市民に認知され資格制になっていたら、どんな社会が生まれるのか」を細かく描いたSF漫画だが、何より個性豊かな仲間たちが集まって切磋琢磨する学園漫画として始まったからこそ、人気を博したのだろう。
脇役だけでなくヴィランたちも含めた「全員主人公の多視点群像劇」
一方、デクたちの楽しい学園生活と同時進行でじわじわと描かれるのが、ヒーローたちに反旗を翻し、超人社会の秩序を崩壊させようと暗躍するヴィラン(悪役)たちの姿だ。
5本の指で触れたものを粉々の塵に変えてしまう「崩壊」の個性を持つ死柄木弔が率いる敵(ヴィラン)連合は、当初は寄せ集めのならず者集団だったが、次第に勢力を拡大していく。彼らを背後で操るのはオール・フォー・ワンという悪の帝王。
彼の個性「オール・フォー・ワン」(AFO)は個性を奪って別の人間に分け与える能力で、オールマイトから継承したデクの個性「OFA」も「AFO」から派生した能力だったことが後に判明する。
悪の師弟と言えるオール・フォー・ワンと死柄木の関係は、オールマイトとデクの師弟関係と対になっているのだが、話が進むごとにヒーローと敵対するヴィランの物語も厚みが増していくのが『ヒロアカ』の奥深さである。