順調に進んでいた公務だが、この日、“間一髪”の出来事があった。午後、ご一行はアテネからギリシャ北西部のリゾート地、ケルキラ島に移動。到着後にぽつぽつと降り出した雨が、しばらくして土砂降りになったのだ。ビニール傘を差し、島内の孤児院を訪問された佳子さま。そこへ――。

この後、間一髪(ANNnewsCHより)

10メートル離れた場所へ雷が落ちた!

「車列の関係で私が先に施設を出たのですが、その時、10メートルぐらい離れた場所へ雷が落ちたのです。施設は丘の上にあり、その近くの林に落ちたのですが、とても驚きました。佳子さまはまだ施設の中にいらっしゃったので、事なきを得ました」(同前)

 30日には、同島のアジア美術館で「文化観光年」を記念する行事と観光大臣主催の昼食会にご出席。所蔵されている、江戸時代中期の浮世絵師・東洲斎写楽が描いた肉筆画をご覧になりながら、

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「どのように線は描かれていたのでしょうか」

 などと細かな質問をされたという。西林氏が振り返る。

「渡航前には佳子さまからメールで、この美術館を扱った10年以上前の番組が見られるYouTubeのリンクが送られてきました」

 メールには、こんな趣旨のメッセージが添えられていた。

「面白いですよ。ぜひご覧になってみてください」

 大使経験者の西林氏ですら知らなかった番組で、その探求心に驚いたという。

 いくつかのハプニングを乗り越え、8日間の日程を終えられた佳子さま。滞在中、一度だけ西林氏がホテルの部屋に呼び出されたことがあった。それが冒頭の場面だ。

「何事かと思って参上しますと、佳子さまに『このようなことを発言してもよろしいのでしょうか』とご相談を受けました。政治的とも解釈できる内容だったため、『お控えになった方がいいかもしれませんね』とお答えしました。30秒程度のやり取りでしたが、心に残っています」(西林氏)

 帰国から2日後の6月3日、佳子さまは皇居の賢所を参拝。その後、控室で待っていた西林氏のもとへ直接、挨拶に訪れられた。佳子さまが携えておられたのは、行きの機内で西林氏が渡した、アクロポリスに関する小冊子。プリンセスとの旅はこうして終わりを告げたのだった。