京都蓮久寺の三木大雲住職のもとには、奇妙な体験をした人、助けを求める人からの相談が、日々持ち込まれてきます。拾った白い綺麗な石を目玉だという友達、骨董市で買った不思議な絨毯、小さいおじさんを捕獲して家で飼っていると言う人――。

 新刊文庫『怪談和尚の京都怪奇譚 積徳の旅篇』にも、日常に潜む怪異現象や不気味な出来事が数多く掲載されています。その中から、ある夫婦が夜のランニング中に遭遇した奇妙な「体育座りの男」を紹介します。(全2回の第1回/後編を読む

 

蓮久寺にやってきた新しいスタッフの吉田さん

 京都の寺院といえば、風光明媚な場所にあり、十分な敷地に日本庭園、休日にはたくさんのご参拝の方が来られるイメージではないかと思います。しかし、それは一部の観光寺院だけで、大多数は檀家さまのみが対象で、仏教行事も檀家さまだけで行うことが多いです。

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 私が住職をさせていただいております蓮久寺も同様でした。しかし有難いことに、本の出版やテレビ出演、YouTubeの配信などで私を知ってくださった皆様が、お寺にご参拝くださるようになりました。

 蓮久寺は市井にあり、西本願寺を除いては、近隣に観光できるような場所はありません。それでも遠近各地より多くの方が、中には海外からもご参拝に来てくださいます。特にお正月や節分などは、毎年千人以上の方が来てくださるようになりました。

寺のイメージ

 そうなると、必要になるのが人手です。そこで、檀家さんをはじめ友人知人に、どなたかスタッフとしてお手伝いをお願いできないかと声をかけました。

 すると、有難いことに数人の方が、ボランティアで手伝いますと仰ってくださったのです。

 行事の時はもちろん、土曜日、日曜日も来てくださることになりました。これによって、土日はお守りの販売や、参拝者に本堂にお入りいただく事もできるようになったのです。私が住職として蓮久寺に入らせていただいた時には考えられなかった有難い状況です。

 今回はそんな蓮久寺の女性スタッフの吉田さんからお聞きしたお話です。