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阪神・中谷将大、もがき続けた男が鳴尾浜で放った“今季第1号”

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/25
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“いるべき場所”へ戻ってきた若きスラッガー

 時を同じくして、鳴尾浜球場のスタンドには、一際目立つ、大男がいた。背番号60に熱い視線と声援を送っていたのは、シンガーソングライターの「Bigfumi」。福岡大学のレスリング部出身で、同大の先輩である梅野隆太郎が昨年から使用している本拠地での打席登場曲「Life」を歌っている。

 今年は、同郷で親交があった同い歳の中谷の登場曲として「Trust」を作詞作曲。イベントの打ち合わせで関西へ来ていたため、中谷の応援に駆けつけていた。「ホームランは、ギリギリ見れなくて……。でも、中谷選手が元気にプレーしている姿を見ることができて良かったです。今は苦しい時期だと思いますけど、また甲子園で活躍するのを楽しみに待っていますし、絶対に見に行きます」。

紙面を飾ったシンガーソングライター・Bigfumiと中谷 ©スポーツニッポン

「Trust」は、打席でのたたずまいや、プレー映像なども見ながら、昨年12月から約1カ月をかけて製作。「信じる」をテーマに、サビには厳しい舞台に身を投じる中谷への力強いエールが込められている。

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『いつだって信じてる いつだってここで見てる いつだって頑張るあなたに力をもらってる ダメかもって泣いた日も うまくいって笑った日も ここに立って闘うあなたの力にきっと変わるだろう』

 鳴尾浜での今季1号から5日後の16日のソフトバンク戦では2打席連続本塁打で、復調をアピールし、打撃不振が続く1軍の起爆剤としてついに昇格を果たした。倉敷マスカットスタジアムで行われた5月22日のヤクルト戦。開幕から40試合目にして、中谷はようやく1軍初打席に立った。

「Trust」という最高の応援歌を背に、若きスラッガーは“いるべき場所”へ戻ってきた。失ったポジションを再び、奪いにいく戦い。昨年、ファンを歓喜させ、チームを何度も勝利に導いた“アーチスト”の逆襲はこれからだと信じているのは僕だけじゃないはず。

遠藤礼(スポーツニッポン記者)

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