昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/05/26

カープはアイドル!?

 40年前ピンク・レディーというアイドル2人組がいた。再結成したから過去形ではないのだが そらもうデビューから数年全盛期はえらい人気だった。日本中を席巻していた。ピンク・レディーのデビュー前業界お披露目会では「こんなキワモノつくって何考えてる」とプロデューサーは会社の上から怒られたそうだ。実際最初はまったく売れず。超ミニスカートにお色気路線の歌に振り付け、あきらかに男性に向けてのアイドルだったがプロデュースした側の意向に反してガッツリ食いついたのは初めは子供だった、踊りをまねて面白がった。女の子たちも夢中になった。私の同級生も教室で踊りまくっていたなあー。狙ったところとは違う場所からお祭りになった「掴みそこねて掴んだ」という不思議現象。カープにも言える気がする。

 何故広島県外でカープファンが増えたのか、何故弱い万年Bクラスの時期に爆発的にファンが増えたのか理由をつけようと多くの人が考えた。ネット時代だから広島在住でなくてもカープが観られる、赤いユニフォームが可愛い、など答えはある。それでもひとりひとりのファンになった理由は心のなかにそれぞれだ。カープファン本人にも言葉にならないのではないかなあ、好きという感情の答え。なんとか絞り出して言葉並べることはできても。そして、いつまで好きかどうかも本人ですらわからない。

 だから。カープが弱くなったらファンが減る図式はないのだ、減るならまた別の理由なんだきっと。初優勝時に増えたファン、弱い時に増えたファン、入り口や巡る道順が違えどたどり着くのはマツダスタジアムだ。

 毎年球場へ通う熱さは「取りこぼした課題を回収だ!」という大いなるクリフハンガーあればこそなのか? ……だが、待って。取り返しのつかない取りこぼしもあるのだ。

 初めてのCS。前田智徳の姿はなかった。とうとうCSを経験しないまま彼は現役を終えた。出てほしかった、一番出てほしかった選手だった。怪我からの引退会見を観て「CSに前田が出ていたら」と一生苦いと覚悟した。黒田投手にも日本一で現役を終えるチャンスがあったのにあの日本シリーズ。

 次のシーズンに持ち越せる取りこぼしなら、悔しいと言いつつ切り替えて応援もできる。

 持ち越せるという意味のクリフハンガーであってくれ。

2013年に現役を引退した前田智徳 ©文藝春秋

 弱くなってからがファンの本番とは言いたくない、やはり勝ちたい、気持ちよく笑ってカープの選手を応援したい。

 今シーズン、3連覇したなら。完全優勝なら。日本一になったなら。そこからがカープ人気の試されるところだ。弱い広島を25年ぶりの優勝まで応援する根気強いカープファンの「強くなった」との安心安堵慢心が一番の敵である。

 カープは強くなったんじゃないんで! 選手が頑張ってる進行形なんじゃわ。

 好きになる感情をコントロールできないことと同じく、醒める気持ちも自分ではコントロールできない。心から3連覇を願い、そして、その次のシーズンも本気で応援したい。弱さにはもちろん、強さにも打ち勝つ応援の力を持っていたいなあ。

 クリフハンガーすら楽しんでやらねば。球場で会いましょう。

※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/7270でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー