今回は応援のお話です。といっても、ヤクルトの応援スタイルをみなさんにお伝えするとかではなく、私の応援スタイル(主に気持ちの部分)のお話です。

 私が好きになり始めた97年からのヤクルトはすでに結構強くて、なんというか今よりももっと気楽に応援していました。もちろん勝ったら嬉しいし、負けたら悔しいし、泣いたり笑ったりしていましたけど、住んでいたのが福岡だったこともあり、試合中継も少なければ、スポーツニュースも数分程度。それでも試合を追っていくようになるにつれ、選手みんなが好きになっていって、チームのファンになっていくわけなんですが、東京に出てきてからは大学と夢を追うことに必死になっていてあまり試合を追うことが出来ず、勝ち負けを確認する程度。それでも古田敦也選手引退の年はどうしても、出来るだけプレーする姿を目に焼き付けたくて、また神宮に行ったり試合を気にするようになりました。そこからまたヤクルトを熱心に応援していったんですが、2007年くらいから「さ、支えなきゃ!!!」みたいな気持ちになっていったんです。特にCS行った2011年は大事な時に勝てなくて……。(あんなに独走していたのにあそこからあんなに連敗するとは思わなかった(涙))すると、私の応援スタイルにも変化が起こっていったんです。

神宮に行くからこそ感じられたこと

 試合に行ける日は7回からでも8回からでも行くんですが、数年前、試合終盤に神宮球場に向かっていた時。結構な点差で負けている試合で、神宮から帰って行くヤクルトファンの方とすれ違ったんです。ヤクルトユニを着て球場に向かう私を見て「負けてるからやめておいた方がいいですよ」って話しかけてきて……。その方は優しさから言ってくださったと思うんですが、あまりのことにうまく返事が出来ず球場に急ぐことしかできませんでした。でも私、その時物凄く腹が立ったんです。「勝つ試合を見に行くだけの為に球場に行ってるんじゃない。選手が辛い時にエールを届けたい。力になりたいから行ってるんだ。嬉しい時も悔しい時も一緒に感じたい。選手と一緒に闘いに行っているんだ!」って。この日から私は、一緒に闘うファンでいたいって思うようになりました。こんな気持ちに自然となっていったのは、神宮で、生で選手たちのプレーを見て感じて応援していたからなんだろうなぁって今振り返るとそう思います。

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 “神宮球場”東京ヤクルトスワローズの本拠地。……にも関わらず、ヤクルトの応援席って埋まっていないのが普通だったというか、いつ行ってもチケットが取れるというのが当たり前でした。ホームなのにビジター席より埋まっていない試合が多かったり、応援の声量も負けていたり。それが悔しいけど日常だった神宮球場。この日常が2015年、変わりました。

 この年、リーグ優勝を果たすのですが、優勝争いをするにつれヤクルトファンで埋まって行く球場。外野に行っても席がなかなか見つけられなかったり、熱気が今までとは明らかに違ってきていました。その頃は神宮によく行くヤクルトファンの友人と「どこにこんなにヤクルトファンが隠れていたんだ。今日は誰かの引退試合か?(もちろん特別な記念試合でも、何かがもらえる試合でもない日)」なんて冗談交じりに話していました。

筆者の“れいちゃま”こと松嵜麗さん

 その中で特に印象的だった試合がありました。リーグ優勝が決まった日。抑えにバーネット投手が告げられると、いや、告げられる前には始まっていたかもしれない。外野だけじゃない、球場全体のヤクルトファンからの「バーネット! バーネット!」コール。今まで感じたことのない物凄い声量と熱量。鳥肌が立ちながら私も一緒にコールしていました。「今日絶対に決めるぞ」という気迫のこもった応援。この応援はバーネット投手のギアをファンのみんなでひとつあげられたんじゃないかなって思えたし、ファンが「さあ、行こう!」って優勝に向かって選手の皆さんの手を引っ張って行ったような応援だったというか。私はこの試合で、「応援で球場の空気は自分たちからも変えられる」って教えてもらいました。

 私たちヤクルトファンはファンの絶対数では負けているかもしれないけど、野球に詳しくない方には東京の球団だってことなかなか知られていないし、本拠地なのにビジターの方がファンが多い試合も多いし、2014年9月23日の試合では神宮でホーム試合なのにヤクルト側の外野応援席も一部相手側に公式に捧げられてチケット販売されたり、グッズショップは球場にあるだけで店舗は無く、先に神宮の側に店舗構えてたのは阪神のグッズショップだったし、本拠地なのにどこか肩身の狭い試合もあって、ほんっっっっっとうに悔しかったけど、でも、胸を張って言える日だったなって思うんです。「ここはヤクルトの本拠地だ! 私たちの応援でヤクルトを優勝に導くんだ!!!」って。この日は優勝したことも嬉しかったけど、こんな気持ちに辿り着けたことも嬉しかったです。