Sodexo Live!社は、フランスの大手国際企業Sodexoの子会社だが、普通の社員食堂やイベント、見本市の感覚でおこなったのではないか。選手たちは、闘いに来るのだ。その根本的なことを忘れてしまっていたのではないか。アスリートの食事というものをそもそも見誤っていたのではないだろうか。一食一食が勝負だ。普段の練習中に何を食べていたかが結果にあらわれる。自転車のツール・ド・フランスでは、選手は朝食にステーキを食べていた。負けた選手に聞くと「何月何日にあれを食べたのがまずかった」と話していた。

 運営会社は、「選手村で提供される献立は、Paris2024で定められた仕様を満たしており、数カ月前にパリ2024とIOC(国際オリンピック委員会)のお墨付きをもらいました」という。

 オリ・パラ組織委員会のエティエンヌ・トボワ事務総長はさまざまな苦情が寄せられたことを受けて、29日に「タンパク質が豊富な」食品を強化したと発表した。

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 事前のプレス向けの公開での説明では、「献立の半分はヴェジタリアン」と得意げに話していた。牛のゲップは大きなメタンガス排出源で、また草を大量に食べることもあって、いま目の敵にされている。「地球にやさしい」オリンピックをめざすので、こういうものは控えめにしたのだ。植物由来のタンパク質をアスリートたちに知ってもらうことを期待していたが、アスリートたちは明らかに「本物の食事」を好んだ。

冷房問題も…根負けして2500台のエアコンを注文

 選手村の建物の冷房問題と根は同じだ。環境保護からあえてクーラーは入れない。床の冷水管で外気温よりも6度低くなるから大丈夫という。だが、各国が自分でエアコンを調達し、これでは、金持ちの国とそうでない国の差別になってしまうと、7月初め組織委員会も根負けして2500台のエアコンを注文した。

7月初め組織委員会も根負けして2500台のエアコンを注文したという ©getty

 食事の内容については、IOCを通じて、選手委員会である代表団と事前に何度も話し合いがおこなわれてきたという。一体何を話し、何を考えていたのだろう。まあ、アスリート・ファーストといいながら、別のところに話が行っているのが、いまのオリンピックなのだが。