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A 永遠に消化できない案件だからこそ、誰かを連絡役に

 はじめまして。傷口はそんなに簡単にかさぶたにならないですよね。そんなに簡単にそのかさぶたは取れたりしないですよね。間に人をはさむことは難しいでしょうか。大事にするとそれなりのお金が発生したりするので、誰か近くに、できれば身内で代わりに連絡のやり取りをしてもらえそうな方はいらっしゃいませんか? 別れるまでに色々あった、その色々がまだ消化できていないんだと思います。永遠に消化できない案件だからこそ、離婚したのかもしれません。その当事者と顔を合わせたり、声を聞くと、それはあの時の感情に引き戻されてしまう方が自然だと思います。できれば代わりに連絡のやり取りをしてもらえそうな方を探してください。

 これからの人生でもフラッシュバックは起きると思います。僕にもどうしても一生ついて回る出来事がいくつかあります。心の傷ってやつかもしれません。簡単にいえば、人を裏切りました。嘘がままならなくなって、なかったことにしたくてその人間関係から逃げ出しました。それらの出来事は、とても幸せを実感する瞬間だったり、何気ない朝の満員電車の中だったりで突然フラッシュバックとして襲ってきます。あの時のあの瞬間のあの嫌な鈍痛のような痛みが心臓近くを襲います。

その引き出しに鍵をかけられる日がくることを願っています

 でも相手の方がきっと嫌な思いをしたはずだ、今も思い出しては僕を殴りつけたいと思ってるかもしれないと、その鈍痛の中、自分の罪と傷に付き合うことにしています。忘れたり、乗り越えられる痛みは、心の傷なんて呼ばないのかもしれません。いつまでも忘れられず、乗り越えられない痛みと付き合って生きている人もたくさんいると思います。解決策とはいかないですけど、自分と同じ境遇、自分とは違う境遇だけど同じような感情を持って生きている人の話や、小説、映画の中に、悶々とした気持ちを言い当てられる瞬間があったりします。自分では言葉にできなかった感情に、ポンと名前をつけてもらえる時があります。

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 中島らもさんの著書『心が雨漏りする日には』が僕にとってのそれです。これからの人生、心が雨漏りする日もきっとあります。それをすべて避けることはできないかもしれないけれど、「そんな日もあるよ」と自分に声をかけてあげることを忘れないでください。あなたのモヤモヤにも名前をつけて、特定させて心のどこかに閉まっておくのも手です。そうすると「また閉まっておいた引き出しからアイツがやってきたか」ぐらいに留められたりしますから。うまく付き合っていくうちに、その引き出しに鍵をかけられる日がくることを心から願っております。

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心が雨漏りする日には (青春文庫)

中島 らも(著)

青春出版社
2005年6月9日 発売

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