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“カンヌ女優”唐田えりかが感動した「仲本工事さんの声」

「寝ても覚めても」唐田えりかインタビュー #2

2011年3月11日は、風がとても強い日で

――この作品の背景に東日本大震災があります。東北の漁港のシーンも印象的でしたが、実際に行かれたんですか?

唐田 仙台に2泊3日のロケで行きました。地元の漁師の方々もエキストラ出演してくださったり、ボランティア協力もしてくださって、忘れられない思い出です。

 

――唐田さんは2011年3月11日のことを覚えていますか?

唐田 中1のときですね。その日は卒業式だったので学校が早く終わったんです。風がとても強い日で、帰り道、友だちと一緒に自転車を押しながら歩いていたんですけど、「風が強くて自転車、すごい揺れるな」って。なんか変だな、この感じと思っていたら、通りかかった家からおばちゃんが飛び出して来て「地震だ!」って呼びかけていて、私たちも「とりあえず、広いところに行こう」ってコンビニを目指したんです。広い駐車場があるので。

 

――友だちと。

唐田 はい、一緒に歩いていた3人で。でも家族と連絡が取りたいのに携帯の電波も通じない。怖くて怖くて、駐車場の真ん中で、ずーっと座っていました。家にようやく帰って、テレビでニュースを見ると大変なことになっていて……。

――あれから7年が経ったわけですが、現地に行かれてどんな印象を持ちましたか?

唐田 現地に入って最初は恥ずかしいというか、情けなかったんです。私は3・11のことをニュースでしか見たことがなくて、それ以上のことを知らない。それなのに映画に出演するということで来てしまって、申し訳ないというか、ここにいていいんだろうかと。でも、地元の皆さんと接していくうちに、逆にパワーをいただきました。みんなで一丸となって頑張っている姿を見て、人間ってすごいなって。

 

仲本さんと、早朝の駅の改札口で二人になるシーンで

――映画では牡蠣をおいしそうに食べるシーンがありますが、いろんな海の幸もごちそうになったんですか?

唐田 はい。「これおいしいよ」「食え食え」って、たくさん。実は私、ずっと牡蠣が食わず嫌いでダメだったんです。それで仙台に行く前にマネージャーさんに付き合ってもらって予習で食べに行ったんですけど、やっぱり東京で食べるより何倍もおいしかったです。

――漁港の場面では漁師役で仲本工事さんが出演されています。

唐田 ご一緒すると聞いて、調べてみたら『8時だョ!全員集合』って出てきて、「あっ! その方なんだ!」ってびっくりしました。

 

――97年生まれですから、ドリフは見たことないですよね。仲本さんといえばメガネなんですけど、映画ではメガネを外しています。

唐田 仲本さんの目が印象的でした。仲本さんが演じる平川さんと、私が演じる朝子が早朝の駅の改札口で二人になるシーンがあるのですが、そこでまっすぐ目と目が合うんです。平川さんからは厳しい言葉をかけられるんですが、でもどこかで許してくれているような、許しまではいかなくても朝子を包んでくれているような、そんな感情が交錯しているような表情を目でされていて……すごいなって、思いました。

 

――仲本さんの声はどうでしたか?

唐田 本当に深い声でした。人間味があふれていて、今までいろんなことがあった人の声だなって感じました。声ってその人が表れていると思うんです。監督の声へのこだわり、名前を呼びかける練習、私の好きな声の共演者のみなさん。「声フェチ」の私にとっては本当に幸せな現場でした。

 

#1 「マザー牧場」でスカウトされた唐田えりかが「カンヌ」に行くまで
http://bunshun.jp/articles/-/7310

#3 “透明感がすごい”唐田えりかが語る「銭湯趣味と、松本穂香とのどうでもいいおしゃべり」
http://bunshun.jp/articles/-/7312

写真=榎本麻美/文藝春秋 

からた・えりか/1997年、千葉県生まれ。高校卒業後、上京しドラマ、CM、MVなどで活躍。主な出演作品にテレビドラマ『こえ恋』、『ブランケット・キャッツ』、『トドメの接吻』、映画『ラブ×ドック』(5月11日公開)など。現在『MORE』の専属モデルとしても活躍中。

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