カンヌ国際映画祭出品の『寝ても覚めても』(濱口竜介監督・9月1日公開)に大抜擢された唐田えりかさん。要注目のヒロインに、マザー牧場でのスカウトからカンヌまでの軌跡を伺いました!(全3回の1回目/#2、#3へ続く)
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マスクを外して写真に写ったのが、すべてのはじまり
――ヒロインを初めて演じた『寝ても覚めても』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門の参加作品に選ばれました。すごいですね!
唐田 ありがとうございます! 映画祭に参加すること自体初めてなのに、いきなり“世界のカンヌ”だなんて、ドキドキしています。
――一気にカンヌの大舞台を経験される唐田さんですが、所属事務所にスカウトされたのは4年前、千葉の「マザー牧場」でのことだそうですね。
唐田 はい、高2のときです。子どもたちが遊ぶ広場の受付をしていたら、そこに偶然、事務所の方がご家族といらっしゃったのがきっかけです。「すいません、うちの子どもと一緒に写真撮らせてください」ってお願いをされて、お子さんと写ったんです。実はそのとき私はマスクをしていたんですが、「せっかくだからマスクを外して一緒に写ってください」って言われて。
――その写真がスカウトの決め手になったんですね。
唐田 写真を撮った後、私は休憩に入ったのですが、戻るとそのお父さんがいて「すみません、今日はプライベートで名刺を持っていませんが、こういう者で」って売店で慌てて買ってくれた牛のキャラクターがついたボールペンで、牧場のパンフレットに事務所の名前や連絡先、所属している方々の名前を走り書きして渡してくれたんです。