兵庫県総務部人事課が、斎藤元彦知事(46)の側近職員の妻(県職員)を特別に優遇する人事異動案を作成していたことが「週刊文春」の取材で分かった。
兵庫県といえば、斎藤知事のパワハラ疑惑や告発者への圧力とも取れる取り調べで注目を集めている。そもそも今回の騒動は、元西播磨県民局長のX氏(故人)が3月に知事のパワハラなど7項目を告発する文書を作成したことが発端となっている。県はX氏を懲戒処分とし、X氏は7月に自ら命を絶った。さらに別の職員も4月に自死するなど異常な状況となっている。
「妻優遇」人事案を作成していた
そして今回、判明したのが、知事側近のグループ「牛タン倶楽部」のひとり、元総務部長の妻を特別に優遇する人事案が作成されていた事実だ。
「元総務部長の妻は県職員なのですが、人事課は、今春の総務部長就任が既定路線だった知事側近の有力者(当時は県民生活部長)の妻を良いポジションに配置するために、わざわざ彼女のためだけに『異動先候補案』を作成させられていたんです。人事課では『嫁問題』と呼ばれる一大案件でした」(Aさん)
小誌は人事課が今年2月に作成した「転出候補先(案)」2枚を入手した。その一部を紹介すると、〈農林水産部〉や〈まちづくり部〉といった「本庁」のポジションとともに、〈※班長兼務なし〉〈※全体調整が求められる〉など、配属された場合に業務上生じうる懸念点まで丁寧に記されている。
代理人弁護士を通じて回答
「嫁問題」について元総務部長に尋ねようと自宅を訪ねると、インターホン越しに妻とみられる女性が対応。しかし名乗った瞬間「結構です」と打ち切られてしまった。元総務部長は電話にも出なかった。メールで質問事項を伝えると、代理人弁護士を通じて回答があった。
――人事課が部長の妻の「転出候補先」を提案する資料を作成するなど、特別な便宜を図っていた?
「事実ではありません」
――人事権の濫用では?
「そういった事実はなく、当時はご指摘のような人事権もありませんでした」
現在配信中の「週刊文春電子版」では、人事課が作成した「異動先候補案」の詳細や自死した職員が告発文書に記していた「左遷の多さ」、残った知事側近の職員の処遇などを詳しく報じている。
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