アートディレクターの北川フラム氏と脳科学者の中野信子氏によるオンライン番組「北川フラムが『大地の芸術祭』を作った理由(前編)」「分断を乗り越えるアートの力(後編)」が8月31日と9月1日、それぞれ「文藝春秋 電子版」にて公開された。
北川氏は展覧会や芸術祭の企画・制作に携わり、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターとして知られている。
「このままじゃバスは空気を運んでるだけ」
番組のテーマとなるのは今年7月13日より始まった、第9回目となる「大地の芸術祭」。日本独自のフォーマットである「地域芸術祭」を北川氏はどのように生み出したのか、その誕生秘話が明かされている。
〈最初に(地域芸術祭を)やったときは、受付をしていても1日1人しか来ないこともありました。バラバラにしていた展示会場も「このままじゃバスは空気を運んでるだけだから展示を1か所に集めてはどうか?」と言われたこともあります〉(北川氏)
北川氏が地域芸術祭を始めた背景にあったのが、「平成の大合併」。全国の市町村が統合されていくなか、あえて地域の生活に根差した「集落」単位の芸術祭を行うことにこだわった。
〈「次の展示場はココ」と書いてあっても歩くと1時間以上かかる。だからお金も手間もかかるんだけど、行った人も嬉しいし、来てもらった地域の人も嬉しい芸術祭を作りたかったんです〉(北川氏)
地域芸術祭は中国など海外でも類似のコンセプトを持った試みが行われ始めているという。なぜ、そこまで芸術祭は人を惹きつけるのか。
〈芸術祭は来る前と来た後で人生が変わったように思える。効率を重視する現代社会で、そうではないものに目を向けさせるのが芸術の持つ美の力だと思います〉(中野氏)
「文藝春秋 電子版」では、前後編70分強におよぶ番組「北川フラムが『大地の芸術祭』を作った理由(前編)」「分断を乗り越えるアートの力(後編)」のフル動画を配信している。