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 結局、真紀が教壇に立っていたのは1カ月ほどしかなかったが、その間に教え子と禁断の恋を燃え上がらせていたのである。それが問題のS君だ。茶髪でロン毛、イケメンの不良少年である。学校が知る由もないが、真紀は学校を辞めた後も生徒と“不適切な行動”を取っていたことが発覚する。

「広瀬先生は学年末に任期切れになったわけですが、新学期が始まってから、また別の生徒から『先生とカラオケボックスに行った』というような話を聞いたんです。生徒としては嬉しかったこととして、何気なく話したわけですが、焼き肉店のときと同様、生徒に好ましくない影響を与える恐れがあるので、彼女に電話で口頭注意しました。そのときも彼女は『分かりました』と答えていました。それですべてが終わったと思っていたのに、いきなりあの記事が出たんですよ」

 あの記事とは、地元紙のスッパ抜きのことである。不思議なことに記事では校長ではなく、教頭が取材に応じた形になっていて、校長としてはそれも寝耳に水。直ちに教頭に連絡を取り、叱りつけたという。

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「では、教頭先生にお話を伺いたい。呼んでいただけますか?」

「分かりました」

極めて微妙な問題

 ここで教頭が登場し、そのときの様子を次のように話す。

「確かに地元紙から電話がかかってきました。しかし、それは『オタクの生徒のことで、こういう事実(淫行)はありますか?』というものだったんです。それで、私は『ありません』と答えました。すると、記者が『もしそれが本当だったら、どう思いますか?』と言うので、私は『もし本当だとすれば、信じられないことです。極めて微妙な問題であり、教諭や生徒を問い詰めることもできない』と答えました。

 私たちは焼き肉店とカラオケボックスの件は把握していましたが、生徒が教師とそんな関係になっていたなんて、噂にも聞いたことがなかったんです。生徒から遠巻きに聞いていたのはその2件だけです。淫行の被害については、男子生徒さえ特定できていませんでした。警察だって学校には何も言ってきませんでしたから」