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 立浪監督は第34代ドラゴンズ監督として2021年オフに就任した。現役引退から実に12年という長いブランクこそあったものの、「ミスタードラゴンズ」の監督就任をファンは歓迎し、就任後の観客動員は好調に推移した。昨季は約218万人とコロナ禍前の水準に迫り、今季はこれを超えることが確実になっている。

 成績は上がらないが観客は増える。この奇妙な現象はチームに意外な影響を及ぼした。

「チーム成績は振るわなかったのですが、結果的に人件費(選手年俸)を抑えることができました。皮肉なことに立浪体制下では収支が改善されていて、フロントも来季続投させたい気持ちがあったようです。そのため最低限の成績を残していれば続投の目もあったのですが……」(中日OB)

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©時事通信社

 Bクラスに終わったとしても、終盤までCS争いを繰り広げるなど、見せ場をつくれば続投の可能性は残されていたという。チーム内では「実は5年契約ではないか」という噂も流れたが、全ては監督が“ミスタードラゴンズ”だったからこそだ。

「あれほど立浪監督に義理立てしてきたのに、それはあんまりじゃないかと」

 一方で立浪監督自身は、7月26日に後半戦が始まる時には、今季限りでの退任が胸中にはあったようだ。

 後半戦が始まる2日前、立浪監督は落合英二2軍投手兼育成コーチ(55)を1軍投手コーチに配置転換した。落合コーチは立浪監督と同学年で、立浪政権でヘッド兼投手コーチに就任するまで、中日と同じセ・リーグではコーチに就任してこなかった。落合コーチの義理堅い人柄が象徴されたこのエピソードは野球ファンの間では有名だ。

 それだけに、昨オフ立浪監督が落合コーチを1軍から2軍に“降格”したことへの驚きは大きかった。

「あれほど立浪監督に義理立てしてきたのに、それはあんまりじゃないかと。人の道として、どうなのかとさえ思ってしまいました」(前出の中日OB)