プロ野球中日は9月11日にヤクルトに1-8で完敗し、13年連続のV逸が確定した。クライマックスシリーズ(CS)進出も風前のともしびで、CSを逃せば、焦点は順位争いから3年契約最終年の立浪和義監督(55)の去就問題へと一気に移行する。
既に後任の監督候補には中日の井上一樹2軍監督(53)やOBの山崎武司氏(55)らが紙面を賑わしてきた。その中でも最有力とされたのが侍JAPANの監督を務める井端弘和氏(49)なのだが……。
屈辱的なオファーを飲めるはずがなく、巨人移籍に至った
現職との兼ね合い以上に、「中日・井端新監督」の誕生は一筋縄ではいかない事情があるようだ。
「僕にも選ぶ権利はありますよ」
立浪監督の後任候補は井端氏と井上2軍監督で一騎打ちの様相と一部で報道された7月上旬ごろ、井端氏は関係者に対し、こう語気を強めたという。
井端氏が頑なになる理由を紐解くには、10年以上も前に遡らなければならない。2013年オフ、年俸1億9000万円だった井端内野手は減額制限(年俸1億円超は40%)を大幅に超え、1億6000万円ダウンの3000万円という提示を受けた。
荒木雅博内野手と鉄壁の二遊間コンビ「アライバ」を組み、4度のリーグ優勝や53年ぶりの日本一に貢献したチームの功労者にとっては屈辱的なオファーだった。これを飲めるはずがなく退団を決意し、巨人移籍に至った。
そのオフには落合博満元監督がゼネラルマネジャー(GM)に就任していた。同GMも同席した契約更改交渉では主力選手に軒並み減額提示をし、最終的に8億円超もの年俸を削減したと言われる。
井端へのオファーにも落合GMの関与は囁かれていた。
「後に落合さんが認めていますが、コストカットは白井(文吾)オーナーら球団トップの命を受けてのものです。落合さんが泥をかぶった形で、内実は球団主導でした。こうしたことがあったため、体制が変わったとはいえ、井端は球団に対して、いまだに不信感が消えていないようです。監督就任を要請されても、二つ返事では受けないでしょう」(コーチ経験がある中日OB)
現在の中日のチーム状況も井端氏を慎重にさせているという。
絶対的守護神のライデル・マルティネス投手は今季で複数年契約が終了し、流出の可能性が囁かれる。柳裕也投手は順調なら来オフに国内フリーエージェント(FA)権を取得。小笠原慎之介投手にはメジャー志向がある。そして近い将来には高橋宏斗投手のポスティングシステムによるメジャー移籍が俎上に載るに違いない。