長年、課題の打撃陣で新戦力の台頭が乏しい上、看板だった投手陣が解体の危機にある。
「FAで多くの主力が抜けていった西武と似たような状況に、中日も陥ってしまうかもしれません。賢い井端のことですから、それが見えているのだと思います。誰が監督になっても上位進出が難しいチームを引き受けるのに躊躇するのは当然でしょう」(中日時代の元同僚)
「中日監督の話に飛び付く理由がありません」
現時点で井端氏に監督就任を要請するNPB球団は中日しかないだろう。しかし、代表監督として実績を残せば話は違ってくる。
日本代表は今年11月に「プレミア12」、26年3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催が控える。ここで好成績を収めるようなら、その後の指導者としての選択肢はぐっと広がる。
「中日以外の球団からのオファーが見込めるようになります。代表監督はハードルが高くなってなり手がいなくなっている今、井端は筆頭候補でしょう。その意味でも、中日監督の話に飛び付く理由がありません」(同)
井端氏が、中日の監督に魅力を感じない状況は今に始まったことではない。
和田一浩打撃コーチ(52)の監督昇格案も
21年オフに就任した立浪監督は、井端氏にヘッドコーチを要請しようとしいていた。井端氏自身も、声がかかることは予想していた。しかし、中村紀洋氏らのコーチ就任が報じられる中で、拠点とする「関東での仕事」が先に決まったとして、わずか数日の差で遅かった立浪監督からのオファーを断ったのだ。
「井端が立浪のオファーを『一応、待っていた』と言うのは、まさに“一応”だったんでしょう。(立浪監督の盟友である)英二(落合投手コーチ)のように、本当に立浪を助ける気があれば、関東での仕事を断ってでもヘッドになっていたはず。立浪も体よく断られたという感じで、納得はしていませんでした。中日はその時から戦力的に厳しいチームとみられていて、井端は泥船に乗りたくなかったのでしょう。(次の機会では)『オファーはなるべく早く(してほしい)』などと立浪を支える気がある素振りはしていましたが、3年経っても実現していませんからね」
中日の次期監督問題はいまだ不透明で、前出の中日OBによると、冒頭の井上氏ら以外に、和田一浩打撃コーチ(52)の監督昇格案、さらに立浪監督の続投の線が消えていないという。中日ファンにも待望論が根強い「井端新監督」の実現は果たして――。