4月10日発売の『週刊文春』の名物連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」に、初の著書『ふりかえれば日々良日』を上梓した女優の佐久間良子が登場。

 東映初の女性主演、NHK大河ドラマ初の女性単独主演など、数々の「初」を成し遂げた佐久間良子。「ヤクザ映画」が主流だった東映で、女性で初めて主演を演じることができた理由について語った箇所を紹介する。

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入社3年目で社長に直訴

阿川 佐久間さんは東映で女優さん主演の映画をつくった先駆けなんですよね、『五番町夕霧楼』で。

佐久間 はい。それともう一つ『故郷は緑なりき』という作品も。

阿川 それは佐久間さんがやりたいと直談判なさったという。

佐久間良子さん(左)、阿川佐和子さん(右) ©︎文藝春秋

佐久間 そう。でもそう簡単に通るわけないのよ。その頃の東映はヤクザ映画、男性路線が主流だったから。女性ものを撮るなんていうことは皆無だったのね。でも、どうしても富島健夫さんの著書でやりたくて、当時の大川博社長にも直訴したの。

阿川 ご自分から? それは何年目ぐらいだったんですか。

佐久間 3年目かな。

阿川 じゃあ20歳そこそこだった。

佐久間 といっても、全然受け付けてもらえないわけですよ。女性ものといったら松竹で、東映としては女性ものなんてとんでもないと。でもどうしてもと思って、2年間お願いし続けたんです。

阿川 執念ですねえ。