2024年7月の東京都知事選に立候補し、15万4638票の得票数で5位となったAIエンジニアの安野貴博さん。「テクノロジーで誰も取り残さない東京へ」のポリシーの元に集った「チーム安野」の一員が、妻の黒岩里奈さんだ。33歳の夫婦は政治の未来をどのように描いているのか。パートナーの形を聞いた対談を『週刊文春WOMAN2024秋号』より一部を紹介します。

黒岩里奈さん(左)と安野貴博さん(右)

都知事選へ出馬は散歩中の雑談がきっかけだった

――安野さんに都知事選への出馬を勧めたのは黒岩さんだったそうですが、きっかけは?

黒岩 都知事選の2ヶ月ほど前にあった衆議院議員の補欠選挙中、「選挙期間を有権者との双方向のコミュニケーションの場にできたらいいよね」と話していて、「じゃあ貴博が出て変えればいいんじゃない?」と言いました。散歩中のなんでもない雑談だったんですけど、翌日には、「出馬を決めた」と言われてびっくりして(笑)。

ADVERTISEMENT

安野 里奈の言葉を聞いた時、はじめは「何を言ってるんだろう?」と思いましたが、一晩考えてみると、確かに私がチャレンジする意味があるなと思えて、翌朝10時には、立候補の意思は固まっていました。

黒岩 選挙期間中に、候補者と有権者の双方向コミュニケーションをもっととれるはずだと言っていて。「今のテクノロジーを使えば、“候補者の名前を書く”以上の政治参加が可能になるはず」と、その時点で話していたよね。

安野 それが「デジタル民主主義」とも呼応するチーム安野の核になったということですね。

安野貴博さん

――とはいえ、安野さんの立候補に黒岩さんは不安はなかったですか?

黒岩 「おうおう、そうきたか」みたいな感じで、ポジティブに受け止めましたね。私は彼に対しては、常に驚かせて欲しいという欲望を持っておりまして。

――黒岩さんはパートナーに「驚き」を求めている?

黒岩 自分にとって「面白い」ことは非常に大切な要素で。編集者という職業病もあるかもしれませんが、「強い個性を持った才能と向き合っていたい」という願望は、プライベートでも同じかもしれないです。

プロポーズ時の提案書には「変化に対応し続ける」とだけ

――安野さんは、パートナーにどんなものを求めていますか?

安野 自分のやりたいことが明確にある、自律した方に惹かれます。里奈は、「文芸というフィールドで良い作品を生み出したい」という話をずっとしてるんですよね。自分を持っている方だなと思って、いいなと思いました。