Androidでいじめられることはないのだが…
では、本当にiPhoneでなければいじめられるのか? これは中学生の間で巻き起こる「スマホを持たないといじめられる」「LINEを使わないといじめられる」といった話に似ている。確かにその世代で、スマホを持たない、LINEを使わないのは少数派だ。しかし、実際それが原因でいじめにまで発展したという話は聞かない。
大学生たちに質問しても、「(Androidスマホについては)よく知らないけど、別にいいと思う」「持っている子もいるし、ねえ」と、特に気にしていない様子だった。
ただし、Androidならではの不都合もある。たとえば、iPhoneのデータ転送機能「エアドロップ」は、学生の間で広く浸透している。通信費をかけずに、高解像度の写真やデータを送受信できるところが支持を集めているようだ。
みんなで写真やデータを共有するときに、Androidユーザーの若者が肩身の狭い思いをするのは事実だ。それはAndroidでも同じような機能があるにもかかわらず、だ。
人気のアプリなどもiOS版しか出ていないと、一緒に楽しくすることもできず、話の輪にも入りづらい。「iPhoneなら古い型落ちの端末でもいい」という意見が出るのもこのためだ。
中にはiPhoneの型落ちにも手が出ず、Androidを使い続ける学生もいる。そんな若者たちのためか、Androidに「iOS16ランチャー」というアプリがあることをご存知だろうか。これはAndroidを見た目だけでも、iOS16のようにするというものだ。冒頭で紹介した、TikTokの検索候補の「androidをiphoneみたいにする」もこのアプリを指している。このアプリをインストールすれば、Androidのホーム画面がiPhoneそっくりの見た目になる。
いつの時代も若者にとって、所属するコミュニティで浮くこと、居場所がなくなることは怖いこと。だから、みんなと同じiPhone、流行のSNSを使い、周囲に溶け込むことに励んでいる。今のところAndroidだからといって、いじめられることはない。しかし、みんなと違うことをして浮くことを恐れ、若者たちは今日もiPhoneを求めるのだ。