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色の濃さと紫外線の遮蔽率は関係ない

 そこで存在感を見せつけるのがサングラス。ならば少しでも色の濃いレンズを、と考えてしまいがちだが、太田医師は注意を呼びかける。

「色の濃さと紫外線の遮蔽率は関係ない。色が濃くてもUVカット率が低ければ意味がないし、たとえレンズは無色でもUVカット率が高ければ目は保護されます」

 特に注意したいのが、“色が濃くてUVカット率の低いレンズ”だ。

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「レンズの色が濃いと紫外線の量に関係なく目の前は暗くなる。目は暗いところではより多くの光を集めようとして瞳孔が開くようにできているので、UVカット率が低いとそれだけ多くの紫外線を取り込んでしまうのです」

 メガネ店に行くと、UVカット率の高さを表示した商品が並んでいる。UVカット率に関しては、高ければ高いほど目にいい――ということになるのだ。

色の濃さではなくUVカット率の高さで選ぶ ©iStock.com

 メラニン色素が弱い西洋人の社会では目を保護する文化があり、フォーマルな席でもサングラスをかけることに抵抗感を持たれない。しかし日本では「レジャー用」という認識が根強く残っており、職場や冠婚葬祭でサングラスをかけることはマナー違反とされやすい。

 しかし、そろそろ考えを改める時期に来ているのではないか――と太田医師は指摘する。

「目に対する紫外線の害がここまで明らかになっている以上、せめて屋外作業に従事する人へのサングラスの使用は、国が推奨してもいいのレベルの話です」

「子どもの目」はもっと守られるべきだ

 もう一つ、太田医師が心配するのが、紫外線に晒される「子どもの目」の危険性。

「子どもの水晶体は大人よりもクリアなので、紫外線によるダメージも大きい。部活動などで日中に長時間にわたって屋外でスポーツをする生徒や学生の目は、大量の紫外線を浴びている。高校野球では許可を取ればサングラスが使用できるが、眼科医の立場からいうと選手全員にサングラスをかけさせたい」

高校野球では許可を取ればサングラスが使用できる ©iStock.com

 サングラスを使えない競技もあるが……。

「サッカーやラグビーなどは、普通のタイプのサングラスを使うのは現実的ではないですね。でも、UVカット機能のあるソフトコンタクトレンズや、ゴーグルタイプのサングラスもある。工夫をして目を紫外線から守る取り組みを進めるべき」と訴える。

 ちなみに太田医師によると、このゴーグルタイプのサングラスこそが、眼科医から見て最も理想的な目の保護材なのだという。

「一般的なメガネタイプのサングラスだと、レンズと顔の隙間から紫外線が入り込んでくるが、ゴーグルタイプのサングラスなら遮蔽率は格段にアップします」

 目から入ってくる紫外線の量が全身の日焼けにも関与するという報告もあるとのことで、スキンケアに余念のない女性にとっても目の保護は他人事ではない。老若男女を問わず、目から入る紫外線は極力減らすべきだ。

 繰り返すが、すでに紫外線量は1年のピークを迎えている。もう時間がないのだ。目の健康を守るためにも、いまこそ「一億総タモリ化計画」を推し進めようではありませんか!