今月19日、マイアミで行われたマーリンズ戦で、メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」を成し遂げたドジャースの大谷翔平(30)。20日には「52本塁打、52盗塁」を達成し、更なる記録更新が期待される。

 ここでは、前人未到の活躍を見せる大谷と一対一で向き合い、その素顔に迫ったベースボールジャーナリスト・石田雄太氏の新著『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平 ロングインタビュー』(文藝春秋)より一部を抜粋して再公開。結婚生活について語った独占インタビューを紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く

インタビューに応じる大谷翔平 ©文藝春秋

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30歳を前に結婚することを決めた理由

――昨年来、WBCでの世界一、ホームラン王、2度目のMVP、ドジャースとの契約、そして結婚……本当に盛りだくさんの“おめでとうラッシュ”ですね。このたびはご結婚、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

――野球だけという空気を醸し出しながらの結婚……大谷さんは人生の中での結婚をどんなふうに捉えていたんですか。

「そういう意味で考えれば野球も生き甲斐っちゃ生き甲斐なんですけど、私生活においては、結婚することもワンちゃんがいることも自分の生き甲斐のひとつ、楽しみのひとつなので、そういう感じですかね」

――野球選手としてのピークを30歳から35歳に迎えると仰っていた、その30歳を前に結婚することを決めた理由はどこにあったのでしょう。

「どうなんですかね……野球に関しては結婚することでのプラスはあってもマイナスはないかなと思っているので、それはそれという感じです」

――プラスに働くというのは、どんなことをイメージしているんですか。

「それはもう単純に、生きていく楽しみが増えるということです。野球をやっていれば打てない、抑えられないときもあるんですけど、もしそうなったとしたらそれは自分の実力がなかったというだけじゃないですか。そんなの、私生活のせいであるはずもなく、そこはまったく別のものとして切り離せばいいことですからね。人生って必ずしも順調にいくわけではありませんし、そういうときでも楽しみがあったほうがいい。何事においてもそれだけ充実する、ということがプラスなんだと思います」

――大谷さんは以前、「1日40時間あったらいいのに」と仰っていました。そんな野球をやるだけで忙しかった大谷さんが奥様との楽しい時間をどうやって作っていたのか、不思議です。

「彼女も働いていたので去年のシーズン中はほとんどアメリカへは来ていませんし、僕が右ヒジの手術をした後も、デコ(愛犬のデコピン)とふたりでリハビリしていましたからね。わざわざ時間を作るようなことはありませんでした」