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 韓国陸軍第5砲兵旅団作戦将校を務め、北朝鮮の軍事情勢に詳しい、韓国の市民団体「自主国防ネットワーク」の李逸雨事務局長は「護衛司令部の要員です」と語る。

 護衛司令部は金正恩氏やロイヤルファミリーの身辺警護や暴動の鎮圧などを担当するエリート集団だ。特殊作戦部隊と同じ訓練を受ける場合もあり、戦闘能力は非常に高いとされる。

金正恩氏の周囲を固める戦闘服姿の男性たち ©朝鮮通信=時事

 李氏は「金正恩氏が国家行事などで公式の席に現れる場合は、背広姿で周囲を警戒しますが、金正恩氏が軍部隊を視察する際には戦闘服に着替え、小銃を携行して護衛するケースが目立ちます」と語る。

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 ただ、護衛司令部兵士が金正恩氏を中心に7人もいる写真もあった。北朝鮮は最近、世界各地で伝えられる政治要人たちの暗殺・暗殺未遂事件に神経をとがらせているという。

 北朝鮮が急接近しているロシアの場合、ウクライナによる無人機(ドローン)攻撃が頻発している。北朝鮮の防空網は、高射砲などの数は多いものの、レーダーは貧弱で早期警戒機も保有していない。

「これで撃ったら後ろにひっくり返る」銃を構えてみせた金正恩氏の「素人」ぶり

 さらに、いくら精鋭だと言っても、写真の特殊作戦部隊の兵士は皆、20代に見える。北朝鮮では今、若い世代を中心に韓国などの外国文化が流入し、社会を揺さぶっている。特殊作戦部隊に入る以上、「出身成分」(北朝鮮独特の身分制度)や忠誠心の高い人々を選抜しているのだろうが、不安も残るのだろう。

 そして、椅子にふんぞり返った金正恩氏の「素人」ぶりも際立った。金正恩氏は椅子に座ったまま、狙撃銃とみられるサイレンサーとスコープが付いた銃を構えてみせた。

狙撃銃とみられる銃を構える金正恩氏 ©AFP PHOTO/KCNA VIA KNS

 岩村氏は「この姿勢で本当に撃ったら、後ろにひっくり返ります。小銃は重いので、やや前傾姿勢で立ち、銃身を持つ左手は銃と直角になるようにして腰で支えます。金正恩氏の姿を見る限り、銃の扱いは素人のようです」と語る。